【相続】遺言執行者
2021/07/27
目次
【遺言執行者とは】
遺言執行者とは、遺言者の遺言内容が公正に実現されるように、遺言の執行に関する事項を担当する人を指します。
被相続人が遺言を遺した場合、相続人は、被相続人の一切の権利義務を承継する(包括承継)という立場から、遺言の内容を実現するために一定の義務を負うことがあります。
たとえば、遺言によって第三者に対する遺贈が行われた場合、相続人は遺贈義務者として、遺贈を受けた人(受遺者といいます)に対し、遺贈の対象である財産を引き渡す義務を負うことになっています。
その一方で、とくに相続人が複数人いる場合などは、相続人同士の利害関係が対立するため、公正な遺言内容の実現を望むことが難しい場合があります。そこで、遺言内容の公正な実現のために選任されるのが遺言執行者です。遺言執行者に就任する資格については、未成年者や破産者以外の人であれば、特段の制限はありません。ただ、遺言執行者はさまざまな手続きを実行することが必要ですから、弁護士などの専門家に就任してもらうケースが多いようです。
遺言執行者は、遺言者が遺言で選任するか、遺言者が遺言において委託した第三者が選任するのが原則です。しかし、遺言執行者に選任された人が就任する義務はなく、遺言執行者への就任を辞退することも可能です。辞退により遺言執行者が不在になった場合は、相続人などの関係者からの請求に基づき、家庭裁判所が選任することができます。一方、遺言執行者が遺言内容の実現に向けた任務に反する行為などをした場合、相続人などの関係者は、家庭裁判所に対し、解任の請求をすることができます。
【どんなことをするのか】
遺言執行者は、遺言内容の実現に必要とされる一切の行為をする権限を持っており、相続人全員の代理人とみなされます。遺言執行者が選任されている場合、相続人は、遺言内容を執行する権限を失いますから、遺言を執行しても無効になることに注意を要します。
さらに、遺言によって婚外子(非嫡出子)の認知あるいは相続人の廃除とその取消しをする場合、婚外子の認知の場合は、届出、相続人の廃除とその取消しの場合は家庭裁判所への申し立てができるのは、民法の定めによって遺言執行者に限定されています。
その他、遺言執行者は就任した時点で、自らが管理すべき相続財産の状況を把握するため、財産目録(相続財産の目録)を作成するとともに、相続人に作成した財産目録を交付する必要があります。
このように、遺言内容の実現に向けて、遺言執行者には広い代理権が認められているため、遺言執行者の行為が、時として相続に関して権利を持つ人(被相続人に融資していた貸主など)に影響を与えることもあります。2018年の相続法改正(2019年7月1日に施行)により、遺言執行者であっても、相続に関して権利を持つ人の権利行使を妨害してはならないとする定めが設けられています。
この記事は相続を考えている人、又は相続の対策を考えている人のために、参考になればと書かれています。相続について、ご質問、ご相談があれば、お気軽に「相続について教えて欲しい」とご連絡ください。「相続」のアドバイザーがお答えします。あなたの大切な「相続」をより良き「相続」にしていただくために、相続のアドバイスさせていただきます!
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