【金融知識】米国の金融政策FF金利やQTを知っておこう
2022/06/08
目次
【金融知識 ※米国の金融政策FF金利やQTを知っておこう※】
米国の金融政策が連日話題となり、米国の株式市場が揺れています。
FRBは0.5%の利上げを決定し、6月にもQTを始めるとのことです。
今回はFRBが金利を上げるとは何をどうすることなのか、QTとは何なのかを見てみます。
FRBが金利を上げるとは、「フェデラルファンドレート(FFレート)」と呼ばれる金利を上げるということです。まずはここから見ていきましょう。
米国の民間銀行は連邦準備制度(Federal Reserve System/FRS、fedとも言われる)に加盟しています。
連邦準備制度とは米国の中央銀行制度のことです。
連邦準備理事会(FRB:Federal Reserve Board)、連邦公開市場委員会(FOMC:Federal Open Market Committee)、全米12地区の連邦準備銀行(FRB:Federal Reserve Banks)から構成されています。
そのFRS加盟の民間銀行は、地区連銀に一定割合を預金することが義務付けられています(準備預金)。
その預金が不足したり、余ったりした場合、加盟銀行はお互いに資金を融通する取引をします。
この資金取引の市場を「フェデラルファンド市場」といいます。
フェデラルファンド市場を通じてお金を借りた銀行は返済時に金利を払うことになります。
ここで成立する金利を「FFレート」といいます。
通常、FFレートは基本的には以下のような動きをします。
・米国景気悪化 → 資金需要減少 → FFレート低下
・米国景気改善 → 資金需要増加 → FFレート上昇
このFFレートの誘導水準を決定するなど、米国の金融政策の基本方針を話し合って決めるのが、「連邦公開市場委員会(FOMC=Federal Open Market Committee)」です。
FOMCとは、FRB理事と地区連銀総裁12名が参加する会議のことです。政策金利など具体的な金融政策を決めるほか、四半期ごとに経済・金利見通しの作成を行います。
そして、地区連銀の代表格であるニューヨーク連銀がフェデラルファンド市場で公開市場操作(資金の供給や吸収)を行い、FOMCで決められた目標水準にFFレートを誘導しています。
・FFレートが目標よりもかなり高い→市場に資金を供給→FFレートが目標に接近
・FFレートが目標よりもかなり低い→市場から資金を吸収→FFレートが目標に接近
FOMCの議長はFRB議長、副議長はニューヨーク地区連銀総裁が務めます。
FOMCで決まる米国の金融政策は、米国経済ひいては世界経済全体に大きな影響を及ぼし得るため、その動向は世界中の注目を常に集めています。
FOMCは会議終了後に、景気・物価状況の認識やリスクのバランス、当面の金融政策運営方針などを記した「声明文(ステートメント)」を発表します。
政策変更がない場合でも、その内容の変化に何らかのヒントがないか、市場関係者はチェックしています。
また、FOMCの簡潔な議事録(ミニッツと呼ばれる)は3週間後に、詳細な議事録(トランスリプト)は5年後に公表されます。
【量的引き締めとは、量的引き締めとは】
次にQTについてみていきましょう。QTとは量的引き締めのことを指し、「Quantitative Tightening」の頭文字をとった略称です。
量的引き締めとは、量的引き締め(QE=Quantitative Easing)によって拡大した中央銀行のバランスシートを段階的に縮小することをいいます。
そもそも量的緩和とは何かというと、中央銀行が国債などの金融資産を買い入れて、市場に大量の資金を供給する金融政策のことです。
QTとはQEの逆のオペレーションを指します。QE政策で中央銀行が市場から買い入れた国債などの金融資産について、満期を迎えた再建の再投資を停止して償還させたり、保有資産を売却したりすることにより、QEによって拡大したバランスシートを段階的に圧縮させることをQTといいます。
米国は現在、インフレと戦っています。3月の消費者物価指数は前年対比で8.5%増。FFレートの引き上げも、QTも景気を引き締める効果があります。
つまり、インフレを抑えるためにFFレートを上げ、QTを実施します。
しかし、それは同時に景気を抑える効果もあるわけです。
したがって、今、FRBは景気後退を起こさぬよう、インフレも抑え込むという非常に難しい金融政策をとろうとしているわけです。
それは果たして可能なのか?その疑問が米国の株式市場における下落になっているようです。
FRBは第一優先にインフレ抑制を置いているように見えます。
株式市場や景気をある程度犠牲にしてでも、インフレ抑制を優先するのではないかと予測します。
米国の金利が上昇することによって、日米金利差が開き、円安ドル高が加速することに加え、米国経済の減速や米国株式市場の下落によって、日本経済にも影響を与えていくでしょう。
まず、米国で起きていることを知ることが大切だと考えています。