【相続】借地権の基本的なことを理解しておこう

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相続・終活マガジン

【相続】借地権の基本的なことを理解しておこう

2023/05/31

目次

    【借地権とは建物を建てるための権利】

    土地を借りるといっても、借りた土地にすべて借地権が生じるわけではありません。借地権とは、「建物を建てるために地代を払って土地を借りる権利」のことです。ですから、仕切りを区切っただけの駐車場のように、建物を建てる目的のない土地を借りても借地権は生じません。

     

    実家の相続の場合は、家が建っているのですから当然、借地権とセットになっており、「借地権付き建物」と呼ばれます。借地権付き建物は、いわば地主との共有不動産ですから通常の所有権の住宅よりも制約が多くなります。

     

    なぜそんな住宅をわざわざ買うのかといえば、建物は居住者の所有なので住んでいる分には通常の持ち家と変わりません。土地は借りているので、当然、買うより安くマイホームが持てます。グレードの高い家を建てたり、便利な場所に家を建てることもできます。これが、借地権付き住宅を購入する最大のメリットです。

    【借地借家法の改正で共存する旧法と新法】

    借地権は、平成4年(1992年)に法改正があり、同年8月1日以降の新たな借家契約(改正前の借地の更新を除く)には新法が適用されます。そのため、現在は旧法と新法が共存する状態ですが、改正前の契約で引き続き旧法が適用されるケースが多いのが実態です。

     

    実家の相続の場合は、親の代からの契約が続いているので旧法の場合が多いと思われますが、確認しておいたほうがよいでしょう。

     

    旧法は借地人の権利が強く、地主に不利な内容との地主側の不満がありました。1980年代後半のいわゆるバブル経済のときに地代が跳ね上がったことで地主が反発し、これをきっかけに法改正となりました。

     

    新法では、土地の返還を求めやすくするために、大きく2つの制度が新設されました。1つは定期借地権です。一般の普通借地権は更新をすれば半永久的に借りることができますが、定期借地権付き住宅は、50年以上の契約期間を設定し、更新はできません。期間満了後は、更地にして地主に返還しなければなりません。

     

    もう1つは、正当な事由があれば、土地の返還や更新拒絶を主張できるようになったことです。しかし、正当事由は借地人の死亡により空き家になったといったことでは認められずハードルが高いため、実際には機能しづらい面があります。

    新法は旧法に比べて地主に有利になりましたが、借地権は借地借家法で守られた借地人の非常に強い不動産の権利であることに変わりはありません。ただ、売却や建て替えなど何かと地主の承諾が必要ということもあり、立場上は地主が有利という実態があります。

    【借地権のメリットとデメリット】

    借地権付き建物は一般の所有権付き建物と比べて、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。主に次のようなことがあげられます。

     

    <メリット>

    ・通常の所有権付き建物より安く購入できる

    ・利用価値の高い物件(都市の中心部など)を安く購入できる

    ・更新を続ければ半永久的に借りられる

    ・土地の固定資産税を納める必要がない

     

    <デメリット>

    ・地代を払う必要がある

    ・住宅ローンを組めない可能性がある

    ・更新時に更新料が必要なことが多い

    ・建物(借地権)を売却するときは地主の承諾が必要(承諾料を請求されることが多い)

    ・建て替えや増改築(大規模リフォーム)には地主の承諾が必要(承諾料を請求されることが多い)

    ・借地権を第三者に売却しにくい

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