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相続・終活マガジン

【終活】家族信託とは②

2023/11/20

目次

    【家族信託はどんなときに必要になるの?】

    家族信託は社会の高齢化が進む中で注目されてきたもので、多くの方が認知症対策として利用しています。親などが、管理運用を必要とする預貯金、不動産、有価証券などの財産を保有しており、かつ認知症を発症するリスクがあるという場合には、家族信託を利用することで、そのときに起こり得るさまざまなトラブルを回避し、家族の誰もが納得のいく財産管理を行うことができます。

     

    この家族信託を開始するための条件は、当事者双方に意思能力があることです。つまり、高齢になった両親を委託者としようとする場合、認知症によって本人が意思能力を失ってしまう前に行う必要があるということです。したがって、家族信託を活用する場合には、できるだけ早く準備を進める必要があります。

     

    「そろそろ親も高齢になってきたし、財産のことを決めておいたほうがいいかな」

     

    「自分がいつ認知症になるかわからないから、そうなってしまったときに財産をどうするか決めておこう」

     

    と思ったときには、なるべく早めに専門家に相談することをおすすめします。

     

    ただしその中でも、家族信託に明るい専門家はまだ限られているのが現状です。ですから、専門家に相談する際には、今までにどれくらい家族信託の案件に携わってきたか質問してみるといいでしょう。家族信託は税務上のリスクもありますから、そのリスクに対して配慮せずに始めてしまうと、後々多額の税金が課税されてしまうこともあります。そうならないためにも必ず経験豊富な専門家に相談するようにしてください。

     

    また、信託契約の締結に関して専門家のコンサルティングを受ける場合、かかる費用の目安もお伝えしておきましょう。一般的には、信託財産の総額が5000万円程度の規模の場合は60万~100万円となります。信託財産に不動産が含まれる場合には、信託の登記をするための手数料や登録免許税などが必要になりますが、こちらは1か所に3000万円の不動産がある場合には20万円程度が目安となります。費用は信託財産の総額が大きくなるほど高くなり、小さくなるほど安くなる傾向にあります。

    【家族信託の受託者はどうやって決めるの?】

    家族信託の受託者に就任した人は、信託財産である不動産や預貯金の管理など、信託の目的を達成するために契約に定めた業務を行います。このほかにも、信託財産の状況や収益などを税務署に届ける業務も行う必要があります(信託財産の内容によっては届け出が不要の場合もあります)。

     

    このように、信託財産を管理する受託者は、信託においてとても重要な役割を担う立場に置かれます。ですから、受託者を決める際にはその役割を担うにふさわしい人物を選任することが大切です。

    たとえば、不動産オーナーが自分の不動産を信託する場合には、受託者としてふさわしいのは将来の土地を受け継ぐ親族となるでしょう。将来自分のものとなる予定の財産であれば、責任感を持って信託の業務にも取り組んでくれることが期待できるからです。このように、最も責任感を持って財産管理をしてくれる人を選ぶのが一般的です。

    【家族信託ができる財産、できない財産】

    家族信託では、原則として委託者が所有している財産であればほとんどのものを対象にすることができます。具体的には、以下のものがあげられます。

     

    ・預貯金などの金銭

    ・土地や建物などの不動産

    ・株式や国債などの有価証券

    ・特許権や著作権などの知的財産権

    ・自分が経営する会社の事業や株式

     

    これらのものが、信託の対象となります。さらに保持している貴金属や絵画といったものも信託の対象にすることができます。

     

    しかしこの中には、手続き上、家族信託の対象とすることが難しい財産もあります。それは、有価証券です。証券会社の口座で管理している国債や株式の場合には、信託財産を管理する口座を開設することができず、結果的に信託ができないケースがあるので注意が必要です。

     

    というのも、通常、現金や預金などは信託のための受託者名義の口座を開設して管理をしますが、証券会社では受託者名義の口座開設に対応していないところが多いのです。このような場合、法的には信託ができたとしても、受託者の義務である信託財産の分別管理(信託を受けた財産と自分の財産を分けて管理すること)が困難になってしまうため、実質的に信託ができないということになってしまいます。

     

    ただし、最近では少しずつ受託者名義の口座開設に対応する証券会社も出てきていますから、将来的には国債や株でも問題なく信託ができるようになると思われます。

     

    また、借金などの負の財産や、年金受給権・生活保護受給権といったその人自身に属する権利も、信託することはできません。

    【家族信託が終了するとき】

    家族信託では、終了事を「委託者の死亡」と決めておくケースが大半です。例えば、親の介護費用の管理のための信託の場合、親が認知症などになって介護施設に入っている間は信託によって受託者が財産を管理しますが、その後、親が亡くなった時点で、受託者は管理を終了します。

     

    そのときに、残っている財産をどうするかということになりますが、これも信託契約の中で、残った財産を、誰がどれだけ受け継ぐかを決めることができます。信託契約の中で、誰にどれだけ財産を受け取ってもらうかを決めるわけですから、この内容は、いわば遺言のような機能を果たすわけです。

     

    このような信託をした場合には、遺留分の存在に注意する必要があります。遺留分とは、遺言によって自分の相続分を減らされてしまった、または自分の相続分は「なし」とされてしまった相続人が、自分の法定相続分の一部について取り返すことができる権利です。

     

    遺留分の権利を持っている相続人は、亡くなった方の配偶者や子、親など、法律で決められています。

     

    この遺留分というのは、「遺言」によって自分の相続分を減らされてしまったときに請求できると法律で定められていますが、家族信託の場合でも同じように主張ができると考えられています。

     

    ですから、信託終了時に、残った財産をどうするか決定する際には、この遺留分に配慮が必要となります。

     

    亡くなった後の財産をどうするかは、もちろん遺言書でも決めることはできるのですが、遺言では、親の生前の財産管理のルールを定めておくことはできません。このルールを定めずに、兄弟の一人が独断で親の預貯金を下ろしたり、月々の介護費を支払ったりしていると、他の兄弟からその使い道について不信感を抱かれて、親の死後、遺族の間で相続争いが起きることがあります。

     

    家族信託なら、本人がまだ元気なうちから、いざというときにはその財産を誰がいつどのように管理するかということを、関係者の間でしっかり取り決めておくことができるため、相続争いの防止の観点からも非常に有用です。もし認知症にならずに本人が亡くなってしまった場合でも、生前に十分に話し合って信託内容に盛り込まれた遺産の分け方は、そのまま活かされます。

     

    認知症になって物事の判断が難しくなってしまったときにも、また亡くなってしまったときにも、その人の財産をどうするのかあらかじめ決めておくことができれば、本人にも家族にも心に安心が生まれます。高齢化に伴う問題はさまざまあります。家族の間で余計なストレスや争いを生み出すことなく、最期までできるだけ心穏やかに過ごすことができれば。そんな願いを持って、家族信託を利用する人たちは増え続けています。

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