【相続】遺言者がない場合の話し合い
2024/12/19
目次
遺言書がない場合の相続は、相続財産の分け方を相続人の間で協議します。また、遺言書があっても、具体的な分割の内訳や方法などの指示がなければやはり協議が必要です。
【遺産分割のためにまずは協議で解決を】
相続を行ううえでとくに重要な問題のひとつが、この財産分割の割合です。分割の内容に相続人全員が納得していることが必須条件で、遺産分割に関する話し合いを「遺産分割協議」とよび、その内容は遺産分割協議書としてまとめます。
この協議書には、契約書としての役割と、証明書としての役割があります。相続人全員の間で、遺産をこのように分けると契約したという記になるため、相続人が不当に財産を処分することができなくなるのです。また、その内容に全員が同意し、そのかたちで分割されたことが証明されるため、財産の引き継ぎの手続きでもこの書類に効果があります。
もちろん協議書を作成しなかったことで、罰則などが与えられることはありません。しかし、これを提出しなければ、誰が何を相続したと証明することができないため、相続税の申告時にさまざまな控除などを受けることができなくなり、結果的に相続税が高額化してしまう可能性があります。
遺産分割協議書は、条件さえ満たしていれば、基本的に自由に作成することができます。しかし、記載されている情報が十分であり、全員が同意したことが証明できる書面になっていなければいけません。
そのため作成にあたっては、被相続人の氏名と死亡日、協議書の作成日、相続人の人数・氏名を記載し、各自の相続財産の内容も具体的に記入します。
ここで注意しなければならないのが、相続財産の書き方です。財産目録を作る場合や、被相続人が遺言書に記入する場合にも同じことなのですが、とにかく曖昧な表現は禁物。預貯金を指定するなら、預けている銀行の金融機関名や支店名口座番号、金額など、誰がみてもわかるように記載します。
自宅などの不動産を相続する場合でも、自宅の住所だけでなく、土地の広さ建物の床面積や造りなどまで記入し、心配なら専門家に相談するのが賢明です。
これらの事項について決定し、記入したあとに、相続人全員の住所と氏名を書き、捺印します。協議書は相続人間の合意を示す重要なものなので、協議の参加者全員分を作成し、各自大切に保管しておかなければなりません。
なお、不動産の名義変更時や、遺産分割で受け取った預金を引き出して自分の口座に移す際などは、その都度、遺産分割協議書が必要になるので、紛失にはくれぐれも注意しましょう。
【相続権を持っていても、代理人が必要な場合も】
遺産分割協議を行う際には、人が何人かということだけではなく、相続人がどのような人物なのかが問われるケースもあります。
たとえば相続人が未成年や認知症である場合です。この場合、相続人は法律行為をするだけの能力を有していないと判断されるため、相続権を失うわけではありませんが、協議に参加する権利は認められません。
しかし、それを理由に彼らに不利な協議が進むようなことはあってはならないことです。そこで公正に協議を進めるため、相続人が未成年であれば、家庭裁判所に申立を行い、「特別代理人」を選任してもらわなければいけません。特別代理人が、未成年者に代わって協議に参加し、署名押印していれば、その協議書は公的なものとして認められます。
認知症の相続人については、代理人ではなく、成年後見人を選任し、同じく署名押印してもらうことで、協議を進めることができます。
【遺産分割協議では、関わるすべての問題を扱う】
なかには相続分割の割合だけでなく、遺産として相続される財産自体について協議が必要になる場合があります。たとえば、被相続人が所有していた財産の名義が、相続対策のために相続人のひとりに移されているケースなどです。被相続人が、不動産を利用して相続税対策を考えていた場合によく起こるケースです。
その名義人である相続人は自分の所有を主張するかもしれませんが、相続対策である以上、ほかの相続人それも相続財産の一部として扱うべきだと考えます。相続財産の範囲自体が不確定の場合には、それを確定するための協議や家庭裁判所の調停・審判場合によっては、「遺産確認の訴え」というかたちで民事訴すら必要になるのです。
また、以上のように、遺産分割の手続きを行ったとしても、その時点では判明していなかった財産が協議終了後になって新たに出てくることもあります。
本来ならば、その都度改めて協議を行い、その財産を誰が相続するのか決定しなければならないのですが、遠方に住む親族などがいる場合もあり、簡単ではありません。
そこで、遺産分割協議の段階で、新たに財産がみつかった場合に誰が相続するかなどの対処法を決め、記載しておく方法が取られることもあります。煩雑さを避けるためには、十分役に立つ方法です。
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