【相続】話し合い決裂なら家庭裁判所へ
2024/12/19
目次
【協議がまとまらなければ家庭裁判所に申し立てる】
遺産相続では、分割協議に全員が合意し、解決に至るケースばかりとは限りません。不公平だと遺留分の請求をされたり、そもそも協議に応じない相続人が出てくる場合もあります。そのようなケースでは、相続の手続きが進められなくなることを防ぐために、家庭裁判所に申し立てをし、解決を図る必要も出てきます。
申し立てを受けた家庭裁判所は、まず「調停」を行い、そこでまとまらない場合は「審判」に移行します。「調停」とは遺産分割のこと。これは、調停委員会を相続人の間に立て、話し合いで解決を図るというものです。この調停委員会というのは、家庭裁判所の審判官ひとりに加え、調停委員ふたり以上で組織されます。
調停委員は、弁護士資格を持っている人物や、民事紛争の解決に役立専門知識や経験がある人物など、40歳以上70歳未満で、人格識見が高人物のなかから、最高裁判所によって任命されます。第三者である専門家から助言を受けることで、相続人同士が冷静に話し合い、円滑に協議を進めることが目的です。
この調停で解決すれば、その結果と内容は調停調書にまとめられます。この調書に書かれた内容は裁判所の判決と同様の効力を持っており、強力のあるものです。
調停は分割協議と同様、相続人全員の合意を目指します。ただし、調停はあくまで話し合いです。裁判のように、相続人全員を強制的に召喚できません。とはいえ、全員の合意を目指す以上、基本的に全員参加でなければ意味がなく、欠席者がいては成立しません。そのため、どうしても出席が難しいようなら、弁護士に代理出席を依頼するなどの必要があります。
【審判は不和にもつながるのでできれば避けたい最終手段】
もし調停がうまくいかなければ、家庭裁判所によって、自動的に「審判」へと移行します。この場合、申立人がなにか手続きを行う必要はありません。
審判では、調停のときのように、調停委員が関わるようなことはありません。裁判所から指定された審判の期日に出頭し、相続人全員で話し合いをします。調停のように交互に事情を述べるのではなく、裁判官の進行のもと、進めていくことになります。
審判に出頭した各相続人は、自身の主張をまとめ、裏付けとなる資料や書類を提出します。その後、随時審判の争点についての情報を整理し、話し合いを行います。最終的にそれらの内容から判断して、裁判所が審判を下します。ただし、その過程で話し合いが成立し、合意が得られた場合は調停成立とみなし、調停調書が作成されます。
この場合の遺産分割の割合は、法定相続分に従うのが基本です。各自の事情はほとんど考慮されません。また、相続財産のひとつに自宅が入っており、そこに相続人の誰かが住んでいたとしても、そのことが考慮されない可能性もあります。
この審判内容は告知された2週間後には確定になります。もし結果に不服がある場合には、確定までの間に抗告手続きを行い、高等裁判所の抗告審の判断を仰ぐことが可能です。
【調停や審判による解決はあくまでも最終手段】
紛争について法的には解決できますが、本当に相続人全員がその内容に納得できるかどうかはまったくの別問題です。結果に納得できない相続人が出てくる可能性は高く、親族内の不和の原因にもなりかねないため、あくまでこの方法は最終手段と考えてください。
なかには調停が解決しなかったにも関わらず、審判に移行しない場合もあります。たとえば、相続人や遺産の範囲、遺言が有効だと認められるかどうかなどについて疑いがある場合、あるいは、相続人が揃わず、調停を成立させることができない場合などがそれにあたります。
こういった問題があるときには、審判の手続きを行う前に、審判の妨げになっている問題を解決することが求められます。そのため、裁判所からは、まず問題解決のための審理などを受けるように勧告されます。調停や審判は揉めれば揉めるほど、長引いて大きな負担となります。最終的に誰ひとり納得できない結果になることも少なくありません。やはり相続人間での話し合いで解決に導くのが一番だといえます。
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