【相続】遺産の受け取り方は4通り
2024/12/19
目次
【トラブル回避のための代表的な4つの分割法】
遺産分割協議や調停で決めるのは分割割合だけではありません。財産にはさまざまな種類があり、各相続人が、それぞれどの財産を希望するかも変わってきます。
遺産が現金や預貯金だけなら、相続割合さえ決まれば難しくありませんが、問題は、土地や建物などが関わる場合です。
不動産などの資産は単純には分けることができず、相続人の間でどのように分割するのかを考える必要があります。そのための代表的な方法は、①現物分割、②換価分割、代償分割、④共有の4種類です。
①現物分割
一番シンプルな分割の仕方で、現物のまま財産を分ける方法です。不動産や預貯金、株式など、いろいろな種類の財産について、各財産の所有者を決めることで分けていきます。この方法は、自宅なども含めて、どれも換金することなく相続できる点がメリットです。
ただし、その場合にはかならずしも公平に分けられるわけではありません。協議の結果として相続人全員が納得できれば間題はありませんが、不動産や株式などは後に価値が変動してしまうこともあるため注意が必要です。
②換価分割
相続財産を現金化し、得られた現金総額を決められた割合に分けます。当然、公平に分けられますが、現物は残せません。
たとえば、財産として残っているのが自宅と預貯金のみで、被相続人の配偶者が子どもの家に引っ越して同居するといった予定が立っている場合などには、この方法は有効です。自宅を先に処分してしまい、それを預貯金と合算したうえで公平に分配して相続すればいいのです。
しかし、配偶者や子どもが、その後も残され自宅に住み続けたいと考えているなら、得策とはいえません。
③代償分割
代償分割では、特定の財産を相続した相続人が、その代償をほかの相続人に支払います。自宅や自動車などの財産を特定の相続人が相続して、その財産に対するほかの相続人たちの取得分を、全体の評価額から割り出し、現金でその相続人たちに再分配するという方法です。
この方法の問題点は、不動産などの財産を取得した相続に代えて支払う代償分が、どうしても高額になってしまうということ。結果的にその分配分を支払えず、家に住み続けられない可能性もあります。そのような事態
を避けるために、配偶者の居住権を保護する民法改正が行われたほどです。
④共有
財産を相続人間で共有する方法です。それまで自宅で同居していた相続人の一家が、そのまま自宅を残し住み続ける場合などがこれにあたります。この方法であれば、財産を残しつつ公平に権利を得ることができます。
ただし、とくに不動産などの財産は、年月を経て劣化していくことになり、改修の必要が出てくる可能性があります。補修にかかる費用の支払いを誰が行うのかということで、トラブルになる場合もあります。また誰かひとりが売却を望んだりした場合にも、全員一致でなければ処分できません。
不動産の場合、共有だからと名義を変えずにいると、再度分割協議書を作成しなければいけません。また、2024年からは相続した不動産の登記申請が義務化されることになりました。これは義務化開始以前の不産にも適用されます。
【相続人同士で納得できれば合理的でなくてもいい合意】
これら4種類のうちどの方法でも、分割協議を行ううえで重要視されるのは、全員が合意しているかどうかということです。
分割の割合だけだと不公平にみえたとしても、合意は合理性だけで決まるものではありません。相続人間で納得できる条件となればよいのです。
たとえば被相続人との関係性が良好であったかどうか、老後の世話をしていたかどうかなども考慮される場合があります。そこまで考えたうえで、全員が合意しているのであれば、それを第三者が否定することはできません。
ただし、これは裏を返すと一度合意してしまえば、それを覆すのは困難だということ。土地や株式などの相続財産は、価格が変動するものなので、その動きによっては損してしまうかもしれません。そのようなことがないように、財産の価値の確認には細心の注意が必要です。
一度合意した分割であっても、後に家族間の不和の原因になるような不平が出ないように、分割方法まできちんと話し合って決めなければいけません。
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