【相続】銀行預金を完璧に引き継ぐ
2024/12/20
目次
【銀行預金の引継ぎ】
銀行などの預貯金を被相続人から相続する際、金融機関に対して不正ではないことを立証する手続きを踏む必要があります。被相続人の口座から引き出して、自分の口座に移せばOKというわけではありません。相続対象となった口座から資産が不正に引き出されないように、各金融機関は対策を立てているためです。
【凍結しても心配は無用。残高確認で相続を進める】
預貯金を相続する際に必要な手続きは、銀行預金でも郵便貯金でもほとんど変わりありません。まずは、預貯金が預けられている銀行へ名義人が亡くなった旨を連絡します。
連絡を受けた金融機関は該当の預貯金口座を凍結し、預貯金の出し入れを停止します。これは、分割協議などの合意前に相続人が勝手に引き出すことを防ぐためです。名義人が亡くなった時点で相続人たちの共有財産となった預貯金を、金融機関は責任をもって守らなければなりません。
金融機関に知らせる前に預貯金を引き出してしまっても、その分の金額が相続財産から差し引かれるわけではありません。通帳の記録をもとに相続開始時点での財産すべてが遺産として相続されたとみなされ、その金額に応じて財産分割が行われて相続税が課されます。
ちなみに、誤解されている人がいますが、市区町村役所に死亡届を出していたとしても、その情報が金融機関に伝わることはありません。そのため、誰かが亡くなったときには、取引があった各金融機関に、個別に連絡しなければいけません。被相続人が複数の口座を作って財産を管理している場合には、そのすべての口座について金融機関に連絡し、凍結手続きを行う必要があります。
口座を凍結すると取引は行えなくなりますが、相続を進め、必要な手続きを踏めば解除できます。
また、実際に財産を受け取る前、遺産分割協議の段階においては、被相続人が亡くなった時点での預貯金がわかっていればよいことになります。
もし通帳に記されておらず、口座内の残額がわからなかったとしても、開示・照会の請求手続きを行えば、確認することが可能です。この手続きは相続人ひとりだけでも行うことができるもので、面倒な手続きは必要ありません。
【払い戻しや名義変更には約2週間の時間が必要】
この手続きで残高を確認したら、どのように分割するのかを遺言書の確認や遺産分割協議などで決定します。
そうして各自の相続財産の割合が決まれば、相続を行う旨を銀行に連絡します。必要な書類と申請案内が送られてくるので、申請書類を準備して提出すれば手続き終了です。
ここで必要になるのは、財産分割の内容を証明する書類と申請者、相続人の身分を保障する書類です。つまり、遺言書と検認済証明書、または遺産分割協議書、遺産分割調停調書と、被相続人の戸籍相続人全員の戸籍、印鑑証明などです。これらの書類と一緒に、各銀行で決められ書式に記入し、申請を行います。
凍結を解除し、遺産を受け取るための手続きには時間がかかります。銀行に分割内容を連絡して約1週間で案内が送付され、それを受けて書類を提出します。書類に不備がなければ、提出から1週間ほどで預金の払い戻しが受けられます。
口座の財産を相続する人物がひとりだけなら、その口座の名義を変更し、相続人の所有として自由に扱えるようにするのですが、その場合でも書類提出後に一定の時間がかかります。
また、相続人が複数人いて預貯金を分割する場合、全員がそれぞれ財産の引き落とし手続きをしようとすると、さらに手間がかかるため、相続人の代表が事務手続きを一括して行うのが一般的です。この場合、代表者が委任を受けたことを証明する委任状が必要となるので用意しておきましょう。
【ゆうちょ銀行の場合さらに手続きが多くなる】
ここまでの手続きは、ほとんどすべての銀行で共通です。ただし、ゆうちょ銀行の場合は、必要書類と申請案内を受け取るために、ほかの銀行にはなかった、特定の手続きが必要になります。その手続きが、相続確認表の提出です。
これは、ゆうちょ銀行で独自に用意されている書類で、被相続人と法定相続人の名前などを記入しなければなりません。この書類をゆうちょ銀行や郵便局の貯金窓口まで提出することで、必要書類の案内が届けられます。
このあとの手続きは通常の銀行と同様です。書類を提出して申請します。払い戻しなどを受けるのに時間がかかるのも同じなので、そのつもりで準備を進めていきましょう。
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