【相続】厄介なマイナス財産の処理

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相続・終活マガジン

【相続】厄介なマイナス財産の処理

2024/12/20

目次

    【相続を承認するかどうか。手続きは3カ月以内に】

    相続するのはプラスの財産ばかりとは限りません。マイナス財産ばかりが多く、相続すれば多額の借金を抱えてしまうこともあります。そのようなケースでは相続人には相続放棄の権利があります。

     

    また、相続を放棄するべきかどうか、明確に判断を下すのが難しい場合も。そのような時のために用意された、いくつかの制度があります。

     

    債務や不動産など、すべての相続財産のトータルがプラスになる場合とマイナスになる場合を考えて相続財産の承認には3つの方法が用意されています。

     

    ①単純承認、②限定承認、③相続放棄です。相続財産の状況にあわせて、適した方法を選ぶことになります。

     

    ①単純承認

    単純承認とは、すべての財産の権利を承認し、相続する方法です。現金や自動車、家などのプラスの財産だけではなく、被相続人が残した務も同様にすべて継承します。その場合は特別な手続きは不要です。被相続人の死亡を知った日から3ヵ月以内に特定の手続きを行わずにいると、単純承認したものとして扱われることになります。

     

    逆にいえば、マイナスの相続財産に気づかないまま3カ月以上が過ぎてしまうと、債務まで単純承認したものとして扱われるので、債務がある場合は注意しなければいけません。

     

    ②限定承認

    財産の種類が多かったり、評価額の算出が難しかったりしたために、プラスとマイナスのどちらの財産が多いかわからないといった場合、限定承認をおすすめします。

     

    これは、プラスの財産で支払える金額までの債務を相続するという方法です。たとえば、相続終了後に被相続人が連帯保証人だったことが判明することがあり得ます。その場合でもこの方法なら問題ありません。仮に相続の手続きが終了したあとになって新たな債務が判明しても、相続したブラスの財産の範囲までしか負債を負う必要はありません。

     

    ただし、この方法をとるためには相続人全員が同意したうえで申請を行わなければいけません。誰かひとりでも反対者がいて、話がまとまらなければ、そのまま単純承認になる場合も少なくないのです。

     

    ③相続放棄

    相続放棄は文字どおり、すべての相続権を放棄するというものです。相続財産でマイナスが多くてもプラスが多くても、それらの相続をすべて放棄することができます。

     

    この方法では、限定承認の場合とは違って、相続人全員の同意は必要ではありません。各相続人ごとに手続きを行えます。申請が通った場合、その人物は最初から相続人ではなかったものとして扱われ、相続権自体がなくなるのです。

     

    これを選択すると相続財産がすべてなくなるため、ひとりの人物に債務を相続させ、それを放棄させればいいと考える人もいるかもしれませんが、それは間違いです。

     

    この手続きで放棄されるのは、相続財産ではなく、相続権です。相続放棄を選択した相続人は最初からいなかったものとして、相続がやり直されるので、相続権は次の相続人に移ります。

     

    たとえば相続人がふたりの子どものみでそのひとりが相続放棄を選んだ場合、もうひとりの子どもがすべての財産を相続できます。さらにその子どもも相続放棄を選択し、孫がいなかった場合には、法定相続人は次の順位の両親に移ります。

    ただし、相続財産を少しでも使った場合には相続放棄は認められないので注意してください。相続財産を使えば相続の意思があるものと判断されてしまうため、放棄を選択できなくなります。

    【家庭裁判所で手続き難しいときは延長も可能】

    限定承認や相続放棄を選択する場合、申請手続きはどちらも被相続人の住所を管轄する家庭裁判所です。これらの申請手続きは、被相続人の死後3カ月以内に行うのですが、もし期間内の申請が困難な場合には、申請期間を延長する方法も用意されています。

     

    ただし、延長手続き自体も締め切りは同じ3カ月後。忘れてしまえば自動的に単純承認扱いになってしまうので、注意が必要です。

     

    そうはいっても、親族が亡くなったあとは忙しく、相続の手続きも時間がかかります。債務の確認が遅くなり、期間を延長しても、相続放棄などの手続きが終わらないこともあるでしょう。そのような場合、十分な理由を説明できれば、さらに期間を長くすることができます。手続きに困ったり遅れてしまったりしても慌てずに、まずは専門家や税務署に相談してみるようにするべきです。

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