【相続】遺産分割以外の相続トラブル
2021/08/20
目次
【どんな場合に問題になるのか】
相続をめぐっては、遺産分割に関するトラブル以外にも、その前提問題についてトラブルが生じることがあります。具体的には、①相続人の範囲に関する問題、②遺産の範囲に関する問題が、遺産分割の前提問題の主なトラブルとして挙げることができます。
①相続人の範囲に争いがある場合(行方不明者がいる場合も含む)
相続財産を配分する前提として、相続人の範囲に関する問題があります。相続人に含まれる人を含めていなかったり、反対に含まれない無関係の人(相続欠格者、廃除された人、相続放棄をした人など)を含めたりして相続財産の配分をしてしまうことも考えられます。
まず、相続人に含まれるべき人を含めていない遺産分割は、遺産分割終了後に認知された子が生じた場合を除き、当然に無効となりますから、遺産分割のやり直しが必要です。
一方、無関係の人が含まれている場合で、遺産分割が終了しているときは、無関係の人に対する遺産分割の効力が否定されます。この場合は、相続人に含まれる人は全員参加していますから、遺産分割全体を無効にする必要はありません。そして、無関係の人に配分した相続財産についてのみ、相続人全員で改めて遺産分割協議をします。
なお、相続人の中に行方不明者が含まれる場合、家庭裁判所に不在者管理人の選任を請求する必要があります。遺産分割は本人の意向が重要な要素であるため、選任された不在者管理人が遺産分割に加わるときは、別途に家庭裁判所の許可が必要です。
②遺産の範囲に争いがある場合
ある財産が相続財産であるかどうかが不明である場合など、遺産の範囲に関する問題もあります。遺産分割の審判では、審判をする前提として、家庭裁判所が遺産の範囲に関する判断を示しますが、この判断には相続人を拘束する効力がないとされています。したがって、特定の財産が遺産に含まれるかどうか、相続人間の争いが解決しそうにないときは、その特定の財産が遺産に含まれるか否かを判断する「遺産確認の訴え」という民事訴訟を提起することが必要になります。
【その他の問題について】
遺産分割の前提問題以外にも、相続をめぐるトラブルとして遺留分をめぐる争いがあります。遺産分割によって遺留分を侵害された兄弟姉妹以外の相続人は、自分の遺留分を確保するため、遺留分侵害請求をすることができます。その他、遺言者の遺した遺言が方式に反する場合などは、その遺言が無効になることがあります。これらのトラブルについても、家庭裁判所に調停を求めたり、通常の民事訴訟を提起したりすることが可能です。
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