【相続】法務局で遺言を保管するメリット

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相続・終活マガジン

【相続】法務局で遺言を保管するメリット

2022/11/14

目次

    【法改正の趣旨とメリットとデメリット】

    2020 年 7 月 10 日から、法務局で自筆証書遺言書保管制度が開始されました。この制度では、法務大臣の 指定する法務局が遺言書の保管所としての業務を行い、遺言書の管理事務を行うとされています。従来まで の遺言書の保管方法には、自宅金庫や筆笥、金融機関による遺言信託などが活用されていたと思います。 しかし、特に自宅で保管されることの多い自筆証書遺言では、様式不備や作成の真否をめぐって争族となる ケースも珍しくなく、手軽に作成できる反面、紛失や相続人による書き換え、廃棄のリスクもあります。本 制度では、法務局で遺言書が保管されるほか、遺言書保管官による遺言書の形式的な確認(署名・押印や訂正 方法、日付の有無の確認)や、遺言者の意思確認の実施、家庭裁判所による検認の規定の除外(本制度を活用 した場合、検認は不要となる)など、自筆証書遺言固有のリスクと相続人の負担が一定程度軽減されていま す。 一方で、遺言書の保管申請を法務局で行うには、遺言者自らが管轄の法務局に出頭しなければならず、代理 による申請はできないとされています。この点は、従来の自筆証書遺言作成の簡易さと比較し、遺言者にと っては負担となっています。また、必ず自筆である必要があるため、文字が書けない事情がある場合には、 この制度は活用することができません。この場合は、公正証書遺言の活用を検討する必要がありますが、公 正証書遺言の作成費用と比較すると、自筆証書遺言書保管制度は非常に低廉な価格で利用可能と言えます。 これらを比較しながら、活用を検討していくことになるでしょう。

    【遺言者による遺言書保管申請の手続き】

    自筆証書遺言書保管制度における手続を行う際には、申請書又は各種請求書等を作成する必要があります。 ここでは簡単な流れを確認し、詳細は法務省 HP を確認しましょう。

    法務省ホームページ http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

     

    ①遺言書の保管の申請

    まずは、自筆証書遺言の作成を行います。形式については、法務省 HP から確認してください。また、保管 申請には、申請書、添付書面(本籍記載のある住民票(作成後 3 か月以内のもの))、本人確認書類(マイナンバ ーカード、運転免許証、旅券など)が必要となります。申請書は法務省ホームページ又は、遺言書保管所(法 務局)の窓口で取得しましょう。

     

    ②管轄を確認する

    遺言書の保管の申請は、1)遺言者の住所地、2)本籍地、3)遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言 書保管所のいずれかを管轄する遺言書保管所に、遺言者自らが出頭して行います。既に遺言書を遺言書保管 書へ預けている場合は、その遺言書保管所で行います。管轄違いの場合、保管申請は却下されてしまうの で、事前に調べておきましょう。

     

    ③保管証を受け取る

    保管の手続きが完了すると、遺言者の氏名、出生の年月日、遺言書保管所の名称及び保管番号が記載された 保管証が発行されます。保管番号があると、遺言書の閲覧や、保管の申請の撤回、変更の届出等をするとき に簡易的に行えます。また、家族へ保管証を共有することで、遺言書の存在だけを伝えるといった活用方法 も考えられます。再発行できない書類とされていますので、失くさずに保管する必要があります。

     

    ④手数料

    「遺言書の保管の申請、遺言書の閲覧請求、遺言書情報証明書又は遺言書保管事実証明書の交付を請求する には、所定の手数料を納める必要があります(遺言書情報証明書と遺言書保管事実証明書については後述)。

    (出典:法務省 HP「自筆証書遺言保管制度の手数料及び管轄一覧」をもとに作成) http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00010.html

    【相続人等による遺言書保管制度の 3 つの手続き】

    相続人等が、遺言書が預けられているかを確認するための制度や、預けられた遺言書で、財産の引継ぎをす るための制度になります。

     

    ①遺言書保管事実証明書遺言書保管事実証明書の請求とは、遺言者の死亡後、自分を相続人、受遺者、遺言 執行者等とする遺言書が、遺言書保管所に保管されているかどうかを確認する手続きです。これは、遺言書 の検索制度のような手続きといえます。本請求は、全国どの遺言書保管所でも交付の申請ができ、郵送でも 可能です。請求後、該当の遺言書が保管されている旨、又は保管がされていなことを証明した書面(遺言書保管事実証明書)が交付されます。申請時の添付書類として、遺言者の死亡の事実が確認できる戸籍(除籍)謄 本、請求人の住民票の写し等が必要となりますので、詳細は、法務省 HP を確認しましょう。遺言書が保管 されていた場合は、遺言書情報証明書の請求や遺言書の閲覧を行い、遺言書の確認を行います。

     

    ②遺言書情報証明書の請求 遺言書情報証明書取得の請求とは、遺言者の相続人等が、遺言者の死亡後、遺言書の画像情報等を用いた証 明書(遺言書情報証明書)の交付請求及び遺言書原本の閲覧請求をする手続きをいいます。相続人等は、この 遺言書情報証明書を用いて相続登記や各手続きを行うことができます。従来の家庭裁判所による検認済みの 自筆証書遺を各相続人が持ち回りで利用する必要がないため、大幅な負担軽減となるのではないでしょう か。本請求は、全国どの遺言書保管所でも交付の申請ができ、郵送でも可能です。申請時の添付書類とし て、法定相続情報一覧図又は、戸籍(除籍)謄本等が必要となりますので、詳細は、法務省 HP を確認しましょう。

     

    ③遺言書内容の確認 遺言書内容の確認の請求とは、遺言者の相続人等が、遺言書の内容を確認する手続きです。閲覧方法は、モ ニターによる遺言書の画像の閲覧、又は遺言書の原本の閲覧が可能となっています。本手続きも、遺言者の 死亡後に請求が可能となります。モニターによる遺言書の画像の閲覧は全国どの遺言書保管所でも請求がで きますが、遺言書の原本の閲覧は、保管のある保管所でのみ閲覧が可能です。

     

     

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