【年金】年金抑制「マクロ経済スライド」3年ぶり発動へ~マクロ経済スライドとは~

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相続・終活マガジン

【年金】年金抑制「マクロ経済スライド」3年ぶり発動へ~マクロ経済スライドとは~

2022/12/20

目次

    【年金抑制「マクロ経済スライド」3年ぶり発動へ】

    政府は2023年度の公的年金の支給額改定で、給付を抑制する「マクロ経済スライド」を3年ぶりに発動する検討に入った。年金額は22年度の水準より増えるが、物価上昇率には追いつかず実質的に目減りする見込み。給付抑制は年金財政の安定に欠かせないが、過去の繰り越し分も合わせ、大幅な抑制になる見込みだ。

     

    23年度予算案に、マクロ経済スライド発動を前提に社会保障関係費として36兆円台後半を計上する。厚生労働省は23年1月に23年度の改定額を公表する。支給額は前年度を上回るものの、物価上昇を補うほどには増えないとみられる。

     

    年金額は毎年物価や賃金の増減に応じて改定する。22年度の厚生年金のモデルケース(夫婦2人の場合)は月あたりの支給額が21万9593円だった。今回は足元の物価や賃金の伸びを踏まえて支給水準が3年ぶりに増える見通しだ。

     

    専門家は改定のベースになる22年の物価上昇率を2.5%と試算する。公的年金は少子高齢化にあわせて年金額を徐々に減らす仕組みだ。21年度から2年連続で発動を見送り、0.3%分がツケとしてたまっている。23年度の改定では21~23年度分が一気に差し引かれる可能性が高い。

    (出典:日経新聞2022年12月20日)

    【マクロ経済スライドとは?】

    我が国の公的年金制度は、現役世代が納めた保険料がその時の受給者の給付に充てられる、いわゆる賦課(ふか)方式を基本とする仕組みを取っています。年金額は、賃金や物価の変動などを基準として改定することが法律で定められています。

     

    これに関して、保険料を負担する現役世代の人口減少や年金給付を受ける高齢者の平均余命の伸びによる給付と負担のバランスの悪化を避けるために、2004年(平成16年)に給付水準を自動的に調整する「マクロ経済スライド」が導入されました。

     

    年金額の改定に当たっては、公的年金の被保険者数、物価水準を示す消費者物価指数などの統計データが用いられています。

     

    本来、年金給付額は物価上昇により世代間で不公平が生じないよう、物価や賃金水準を反映した「価格スライド」によって一定の価値が維持されるようになっています。

    しかし、マクロ経済スライドの導入により、価格スライドによる公的年金額の上昇率から「公的年金全体の被保険者数の平均的減少率」と「平均寿命の伸び率」を加えた「スライド調整率」が価格スライドによる上昇率から差し引かれます。

     

    このようにマクロ経済スライドによる調整は、賃金あるいは物価の伸び率に応じて、これらの伸び率からスライド調整率を引いたものを年金額の改定指標とすることで行われます。スライド調整率は、「公的年金制度の被保険者数の減少率」と「平均余命の伸び等を考慮した一定率(0.3%程度)」を合計したものです。スライド調整率は、被保険者数の実績により変化します。

     

    その際は、賃金や物価の伸び率によって、次のように調整されます。

    【マクロ経済スライドの実際】

    「賃金・物価の上昇率が大きい場合」

    マクロ経済スライドによる調整が行われ、年金額の上昇については調整率の分だけ抑制されます。

     

    例)賃金あるいは物価の伸び率:2.0%、スライド調整率:0.9%

    ⇒年金改定率=2.0%-0.9%=1.1

    「賃金あるいは物価の伸び率が小さい場合」

    賃金あるいは物価の伸び率が小さく、マクロ経済スライドによる調整を適用すると年金額がマイナスになってしまう場合は、年金額の改定は行われず、年金額は前年と同額になります。

     

    例)賃金あるいは物価の伸び率:0.5%、スライド調整率:0.9%

    0.5%-0.9%=-0.4% →マイナスとなる場合は年金額の改定を行わない

    ⇒年金改定率=0.0

    「賃金あるいは物価が下落した場合」

    賃金あるいは物価が下落した場合、マクロ経済スライドによる調整は行われません。結果として、年金額はこれらの下落分のみ引き下げられます。

     

    例)賃金あるいは物価の伸び率:-0.5%、スライド調整率0.9%

    -0.5%-0.9%=-1.4% →マクロ経済スライドによる調整は行わない

                 →賃金・物価の下落分のみ引き下げ

    ⇒年金改定率-0.5%

    これまでデフレ下で、マクロ経済スライドが発動されることは非常に少なかったのですが、インフレ傾向になってきた今、マクロ経済スライドが発動され、年金の実質目減りが話題になってくるでしょう。私たちも仕組みについて知っておいた方が良さそうです。

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