【相続】譲渡益3000万円まで控除・相続で使いやすく要件を緩和

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相続・終活マガジン

【相続】譲渡益3000万円まで控除・相続で使いやすく要件を緩和

2023/12/28

目次

    【空き家の譲渡所得の特例(空き家特例)】

    相続によって実家の空き家を相取得し、維持・管理に人悩むは少なくありません。そんな時、利用を検討したいのが「空き家の譲渡所得の特例」(空き家特例)です。相続した空き家を売却した際、譲渡益(得られたもうけ)のうち3000万円までは課税しない(特別控除)という制度で、2023年度の税制改正では今年末までだった特例期限が27年末まで延長さ要件も緩和されて使いやすくなりました。

     

    不動産を売却して譲渡益が発生した場合、通常は譲渡益に対して所得税・住民税合わせて20.315%の税金がかかります。(不動産の所有期間5年超の長期譲渡所得の場合。5年以下なら税率36%)。

     

    3000万円の譲渡益が出た場合、税率20.315%なら税額は609万4500円となる。この不動産に空き家特例を使ったとすれば、最高609万円あまりの税金を納めなくてもよく、税負担の軽減効果は大きいものがあります。

     

    これほど大きな特例が設けられた背景には、空き家が全国的に増えて社会問題化していることがあります。総務省の「住宅・土地統計調査」によれば、賃貸・売却用などを除いた長期にわたって住人が不在の「その他空き家」は1年、349万戸と20年間で1.9倍に増加しました。人口減少などを要因に、特に地方で空き家が増加する傾向にあります。

     

    空き家は放置すれば荒廃し、近隣住民や自治体にも大きな負担となります。そこで、15年に空き家対策特別措置法が施行され、空き家の所有者に適切な管理を促す方策がとられました。その一環として、倒壊する恐れなどが高い「特定空き家」に該当した場合、固定資産税や都市計画税の住宅用地の軽減措置が外され、固定資産税は最大で6倍に跳ね上がることになりました。

    【売却代金は1億円以下】

    また、2023年6月には改正空き家対策特措法が成立し、管理が不十分で特定空き家になる恐れが高い「管理不全空き家」に対しても、固定資産税は最大6倍になることになりました。こうした措置はいわば空き家の発生を防ぐ「ムチ」ですが、一方で「アメ」も用意されています。それが、15年度の税制改正で盛り込まれた空き家特例であり、3000万円の特別控除によって空き家の早期流通を促す狙いがあります。

     

    ただ、空き家特例を適用するには条件があります。対象となる空き家は1981(昭和56)年5月31日以前に建築された家屋で被相続人(亡くなった人)が亡くなる直前まで1人で住み、亡くなった後も未利用であることです。一時的であっても事業や貸し付け、居住用として利用すると、特例を適用できなくなります。

     

    また、区分所有登記されている建物も適用できないため、区分所有登記のある2世帯住宅やマンションは対象外となります。

     

    気を付けたいのが、夫が亡くなった後、家屋に1人で住んでいた妻も続けて亡くなった場合です。夫から妻へ相続せずに夫から子どもへ家を相続してしまうと、その家には被相続人である夫と同居人(妻)が居住していたことになるため、空き家特例が使えなくなります。

     

    空き家特例はこれらの要件に該当する空き家を相続または遺贈によって敷地とともに取得した相続人が、相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却した場合に適用を受けられます。家屋あるいは敷地のみの相続は、適用対象外となることに注意する必要があります。売却代金は1億円以下が対象になるため、空き家が1億円前後の売却価格なのであれば、1億円以下の価格で売却して空き家特例を適用するほうが有利となります。

     

    一方、要介護認定などを受けていた被相続人が、相続開始直前に要件を満たす一定の老人ホームに入所していた場合、入所する直前まで被相続人が1人で住んでいた家屋であれば適用対象となります。

     

    空き家を取り壊して更地となった敷地や、空き家と敷地をセットで売却する場合には特例の対象となりますが、空き家を取り壊さずに売却する場合は、耐震基準適合証明書などにより一定の耐震基準を満たす家屋である必要があります。

     

    この耐震基準の要件につき、25年度の税制改正で大きく緩和されることになりました。改正前は家屋が一定の耐震基準を満たしていない場合、譲渡の日までに売り主側が空き家のリフォーム工事をするか取り壊さなければなりませんでした。しかし、改正によって来年1月1日以降は、譲渡の日から翌年2月15日までに売り主か買い主が行えば足りることになりました。

    【取得費加算と併用不可】

    譲渡した日を「契約日」とするのか「引き渡し日」とするのかは、納税者が選ぶことが可能です。そのため、2023年12月末までに売買契約を締結し、翌年1月以降に引き渡す場合、どちらを譲渡した日とするかで適用要件が変わってきます。翌年の引き渡し日を譲渡したとして特例適用を申告するなら、リフォームや取り壊し工事は買い主側で行うとして、耐震基準を満たさないまま売却しても空き家特例適用できます。

     

    改正によって使いやすくなった空き家特例ですが、相続人が3人以上の場合の特別控除額は減額されることになったため、相続人が多数の場合は2024年からは特例適用を検討した方がいいでしょう。空き家特例の特別控除3000万円は1人当たりの控除額で、空き家を3人の共有で相続し売却した場合は、現行制度では譲渡益9000万円(3000万円×3人)まで税金がかかりません。しかし、2024年1月以降の譲渡では、相続人の数が3人以上の場合、特別控除額は1人当たり2000万円までとなりました。

     

    空き家の譲渡益が7500万円の場合、1人当たりの譲渡益は2500万円となり、特別控除2000万円を差し引いた500万円に対して税金が発生します。長期譲渡所得であれば譲渡所得税は101万5700円となります。

     

    なお、不動産に限らず相続した財産を譲渡した際には、譲渡所得税を軽減する「取得費加算の特例」もありますが、空き家特例は取得費加算の特例とは併用できず、どちらかを選択して適用します。

     

    取得費加算の特例とは、相続開始から3年10ヶ月以内に相続した財産を売却した場合、納付した相続税額のうち売却した財産部分の相続税額を、譲渡した相続財産の取得費に加算して税額を軽減する制度です。

     

    ただ、相続税の納付額が3000万円未満の場合、取得費加算額も3000万円未満となるため、1人当たり3000万円までの特別控除がある空き家特例のほうが有利となります。また、空き家特例は住宅ローン控除や、マイホームを譲渡した場合の3000万円特別控除とマイホームの買い換えにかかる特例措置のいずれかとも併用が可能で、より有利な制度の活用を考えた方が良いでしょう。

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