相続】相続予定の不動産があることを知ったら?

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相続・終活マガジン

【相続】相続予定の不動産があることを知ったら?

2023/01/05

目次

    【相続不動産をどうしていくか?】

    相続不動産は大きく二つに分けることができます。一つは、相続の前であるものの、相続予定の不動産のことをいいます。もう一つは、実際に相続が発生して相続した不動産のことをいいます。

     

    相続予定の不動産といってもよくわからないかもしれませんね。例えば、実家はどうでしょうか?相続前でも相続を意識して不動産の将来を考え始めるとその不動産は相続不動産と認識してよいと思います。所有者である父が亡くなったら誰が相続するのか?相続が発生したら残すのか売却するか?こういう悩みはあると思います。様々な選択肢が出てくるのが相続不動産の特徴です。

     

    不動産の所有者が亡くなったあと、相続人がいれば誰かが相続をすることになります(相続人がいない場合は最終的に国庫に帰属します)。遺言書での指定、もしくは遺産分割協議をした上で、不動産を誰が相続するか確定します。その際、事前に対象不動産の価値を知らないで相続してしまい、後日、税金の負担が大変になってしまうことや、地方にある古い建物付の不動産のため、管理や修繕に毎年費用がかかり相続しなければよかったといったことも出てくるでしょう。このような問題を避けるために相続不動産を事前に知っておくことが大切になるのです。

     

    また、不動産のタイプについては実家からアパート、ビルに区分マンションといった身近にある不動産と、田んぼや畑、山林など相続するにしてもどう扱ったらいいのか考えてしまう不動産があります。相続不動産としては特に後者が問題となることがあります。なぜなら換金性が低いからです。

     

    【相続予定の不動産〜所有者ができること】

    自分が亡くなったとき、不動産をどう引き継いで欲しいでしょうか?先祖代々引き継いできた土地なので子どもにも土地を引き継いで欲しい、アパートはそれなりに毎月、決まった賃料が入るから生活の安定のために妻に引き継いでほしい、バブル期に買ったリゾートマンションは今ほとんど使っていないから相続させても使わないだろうか、など思うことは人によって様々です。

     

    所有者と相続をする予定の人(推定相続人)の生活状況や意向を考慮して、相続させるのか、相続しても使わないだろう不動産は生前に売却をするのか考えていく必要があります。相続予定の不動産を売却する際、認知症になってからでは売却することが難しくなります。よく相続対策は亡くなるまでにと考える方もいらっしゃいますが、すでに説明してきたように、実際は認知症になるまでに相続対策をしないと、何もできないことが多いのです。

     

    元気なうちに売却ができればいいですが、売却するにしても今このときがベストではないこともあります。

    例えば、現在自分が住んでいる家を、体が自由に動くうちは住み続け、介護が必要になり施設に入居するときには、売却して施設の入居費用に充てたいというご希望があります。果たして、介護施設に入居するとき、認知症にはなっていないといいきれるでしょうか。認知症になっていれば、家を売却することはできませんので、施設の入居費用を家族が捻出し、家は亡くなるまでどうすることもできないということが多くあります。この場合には、最近よく耳にするようになった「民事信託」が有効的です。相続対策は様々ありますので、一つの手法だけでなく、ご家族の状況によっていくつかを組み合わせることもご提案します。

     

    一方で、不動産を売却せず、相続させるときには、推定相続人が引き継ぎやすく、揉めごとの火種にならないように考慮することも必要です。所有者が亡くなり、不動産を相続する場合、遺言書がなく推定相続人が複数人いれば、相続人全員で不動産を共有することになります。この不動産の共有は、とても厄介です。

     

    推定相続人の中に非協力的な人がいたり、連絡がとれない人がいたりする場合には、遺産分割協議が整わない可能性もあり、法定相続分で相続はしたものの、売却することができない、相続した持分を誰かに売られてしまって全く知らない人と共有になってしまったなんてこともあります。

     

    誰に相続させたいかが決まっているのであれば、遺言書を作成して一人に相続させる。売却してお金を分けて欲しいのであれば、遺言書で遺言執行者を定めておき、その意向を伝えるようにしていただきたいと思います。相続予定の不動産について覚えておいていただきたいのは、相続対策や不動産の活用をできるのは所有者のみであるということです。さらには、一年でも一ヶ月でも動き出すのが遅くなれば、もしかしたら認知症を発症してしまい相続対策や不動産の活用のためにとれる選択肢が減る可能性もあります。

     

    【相続予定の不動産相続をする予定の人ができること】

    相続する予定の不動産を活用できるのは所有者のみといえども、何もしないというのは問題を大きくしてしまうことにもつながりかねません。少なくとも事前に確認できることは確認しておきましょう。例えば、登記簿謄本は所有者の意思確認をとらずとも誰でも確認可能です(取得には費用がかかります)。自宅以外のいままで見たこともない地方の不動産を相続予定であることがわかったとしてもグーグルマップなどを活用すれば大体の場所の特定もできるでしょう。

     

    相続予定の不動産がある場合、まずはその不動産の状況をしっかりと確認することが大切です。特に次の事柄については事前に押さえておくとよいでしょう。

     

    <所在地>

    不動産には、いわゆる住所と呼んでいる住居表示と、法務局が不動産を特定するために使用する地番があり、都市部では住居表示と地番が一致していないことがあります。この地番は法務局にて無料で調べられ、対象の不動産を管轄する法務局に問い合わせをして、住居表示を伝えると地番を教えてもらえます。

     

    <登記記録(登記簿)の内容>

    地番がわかったら、法務局で登記簿謄本(今は登記記録といいます)を取得しましょう。今は登記記録がコンピューター化されていますので、対象不動産を管轄する法務局だけでなく、どこの法務局でも全国の登記記録を取得することが可能です。登記記録には、土地や建物の面積、建物の築年数、取得した日や原因も記載されています。

     

    <取得価格>

    不動産を売却した場合、取得価格と売却価格の差額で利益(売却益)が出たときには、その売却益から取得にかかった費用(取得費)と売却にかかった費用を差し引いた額に対して譲渡所得税がかかってきます。ただし、取得価格がわからない場合には売却した際の収入額の5%の金額を取得費とすることができると決められています。実際には取得費が結構かかっていたのに資料がない場合には、このような計算式によってしまうので、取得時の売買契約書や手数料などの領収書があるか確認をしておきましょう。

     

    <負債の状況>

    登記記録の乙区という欄をみると、抵当権や根抵当権と記載されている場合があります。住宅ローンなど金融機関から借入れをすると、抵当権や根抵当権といった担保権というものが設定されていますので、そこでいくら借入れをして購入したか否かが確認できます。実際にいくら負債が残っているかは所有者の方でないとわからないですが、目安にはなるでしょう。

     

    <固定資産税都市計画税の内容>

    毎年6月頃に都税事務所や市区役所の課税課から固定資産税の納付書が送付されます。そこには、役所が管理している固定資産評価額や固定資産税額、都市計画税の金額が記載されており、その不動産を保有していると、どれくらいの税金がかかるかがわかります。

     

    <使用状況>

    人に貸しているアパートやマンションをお持ちの場合、入居者がいるか否かでとる手段や期間が違ってきます。また、賃料がいくらか調べられれば把握しておくようにしましょう。

    【相続不動産の問題解決のポイントは事前に調べておくこと】

    相続不動産は状況によっては固定資産税がかかるだけで負担しかないこともあります。皆さんが思っている以上に簡単に問題を解決できるものではありません。相続と不動産のプロに任せてでも事前に整理をしておくことが必要です。

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