【相続】共有名義のメリットとデメリットを知ろう

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相続・終活マガジン

【相続】共有名義のメリットとデメリットを知ろう

2023/04/17

目次

    【不動産購入時には税制メリットがある】

    相続時とは少し離れますが、共有名義の一般的なメリットとしては税制で有利になります。よくある例は、 マイホームを購入するときに夫婦で住宅ローンを組むケースです。 住宅ローンには、「住宅ローン控除」が適用され、年末残高の 1%が 10 年間税額から差し引かれて税金が 安くなります。マイホームを夫婦で共有名義にすれば夫婦それぞれの収入に対して住宅ローン控除を受ける ことができるので、減税額を多くすることができます。 また、マイホーム(マンション含む)を売却するときには、居住用財産の「3000 万円特別控除」が適用さ れ、譲渡益(売却益)から 3000 万円分を差し引くことができます。 なお、対象になるのは居住用財産だけですから、居住を主目的としない別荘などには適用されません。共有 名義のマイホームの売却では、夫婦で 6000 万円分を差し引くことができるため、多くの場合、税金が非課 税になります。 また、相続した空き家の実家(マンションを除く)についても、古い建物(昭和 56 年(1981 年)5 月 31 日以 前に建築)で耐震基準を満たしているなど一定の条件を満たしていれば、被相続人の居住用財産の「3000 万 円特別控除」が受けられます(令和 5 年〔2023 年〕12 月 31 日までの売却に限る)。

    【共有名義はデメリットの理解が重要】

    一方で、共有名義のデメリットも、さまざまなものがあります。 マイホームを売ろうと思っても、共有者の承諾を得なければ売ることができません。夫婦共有の場合、夫や 妻が単独で売ることはできません。特に、離婚する状態になったときは、財産分与の問題が絡んできて難航 します。複数の友人が共有で別荘を買ったり、相続による共有で共有者が複数いる場合も、全員の署名・捺 印が必要になります。 相続のときには、法定相続人に権利が引き継がれるので、共有者が増えていくことがほとんどです。共有名 義の扱いを共有者である相続人の間で取り決めておかないと十中八九トラブルに発展します。 費用の面でも、共有名義は単独名義より多くなります。登録費用や住宅ローンの諸費用は、登録する人数分 かかります。

    買うときは税制にメリットがありますが、ローン支払い中に贈与税が生じるリスクがあります。夫婦で住宅 ローンを負担していて、妻が退職して収入がなくなった場合、夫がローンの支払いを肩代わりすると贈与と みなされるからです。

    【相続時でも市況によって様子見もあり】

    共有名義の解消は、必ず相続時に行わなければいけないものでもありません。例えば、売却で合意したとし ても、2 年くらいすれば確実に不動産価格が上がりそうだという場合は、とりあえず共有名義にしておいて もよいでしょう。 ただし、共有名義のリスクを避けるために共有物分割特約の登記などの対策はしておくべきです。共有物分 割特約とは、共有者全員で一定期間は分割しないという契約を交わすことです。不分割の期間は 5 年以内で すが、5 年経過後に更新は可能です。 また、第三者への売却ではなく相続人の 1 人が将来買い取って単独名義にする場合は、買い取るまでの間、 共有名義にしておくのも差し支えないでしょう。 例えば、実家に住んでいる長男が他の兄弟姉妹の持分を買い取りたいと望んでいるものの、買い取り資金が 工面できない場合です。もし、長男が事業を始めて順調に拡大しており、3 年後なら資金のめどが立ちそう だというなら、共有名義のままにしておき 3 年後に買い取ってもらう約束を交わします。 このとき口約束ではなく、合意事項を書面で残しておく必要があります。事業拡大が順調にいかなくなった ときのことも書面に入れておきます。このように、明確に将来の見通しがある場合は、合意事項を書面にし たうえで共有状態を維持しておくことはあってもよいでしょう。

    【当初の共有名義は感情の潤滑油という役割もある】

    本レポートに限らず、専門家は「とりあえず共有名義は危ないよ」と警鐘を鳴らしています。少し意外に思 うかもしれませんが、「とりあえず共有名義」が絶対にだめだということではありません。それは、「気持 ち的な手続きのプロセス」という効果があるからです。 例えば、3 人の相続人(長男・長女・次男)がとりあえず共有名義で相続登記することによって 3 分の 1 の持 分を実感することができます。これで親の遺産である不動産を均等に受け継ぎ、公平な恩恵を受けたという 感謝の気持ちが湧きます。 たとえ長男が実家に住んでいて実際の利用状況は公平でなくても、相続登記することで不動産に関してはき ちんと 3 分の 1 ずつの権利を得たという証しを感じるのです。 これを私流に言わせてもらえば、「気持ちの手続き」ということで、長男が特に親にかわいがられていただ とか、末子の次男だけ大学に行かせてもらえたといった過去の不均衡のもやもやを一度リセットできるので す。

    こうなれば遺産分割の話し合いもスムーズに運びます。しょせん相続トラブルの根っこは感情のぶつかり合 いですから、共有名義にいったんしておくということは、場合によっては感情の潤滑油という効果もあると いうことです。相談者を見ていると、実は利害の訴えの奥にこうした気持ちの手続きを望んでいる人が多い と感じます。

    【最終的には共有名義を解消する】

    とりあえず共有名義はあってもいいですが、どこかの時点では誰かの単独名義にして共有名義を解消すべき です。共有名義を解消するタイミングは事情によって違ってきますが、共有名義にはさまざまな制約のリス クがあることは事実だからです。 これまで述べたように、共有名義には売却などに同意が必要といった制限があるほか、放っておいて世代を またいでいくとどんどん相続人が増えて持分が細分化していくリスクがあります。 また、共有名義を維持しておく場合には口約束は厳禁です。身内同士だと口約束になりがちですが、将来の 共有名義の解消についてきちんとした書面で決めておくことが必須です。口約束だけだと将来のリスクを抱 えることになります。 書面は必ずしも遺産分割協議書で取り決める必要はなく、兄弟姉妹間の確認書や合意書といった覚書でもか まいません。

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