【相続】「とりあえず共有」が招くトラブルへの道

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相続・終活マガジン

【相続】「とりあえず共有」が招くトラブルへの道

2023/04/17

目次

    【無難なので「とりあえず共有」になりがち】

    相続によって共有名義になったことに、そもそも気づいていないケースも多くあります。親が亡くなっても、たいした価値のある家でないからと親名義のまま放置してしまうのです。相続登記は義務ではなく、罰則もありませんし、期限もありません。

     

    相続人の誰かが住んでいて固定資産税を払っていれば、他の相続人は何も不都合がなく、登記もしないので、自分に共有者としての権利があることにも気がつかないのです。共有名義であることはわかっていても、不動産は分けにくいので、遺産分割の合意に手間取ることがしばしばあります。そのときに共有のままだと無難なので「とりあえず共有にしておこう」と安易に先送りしてしまうことがよくみられます。

    【時間がたつと状況は変わる】

    図の事例では、子の代では相続人が4人しかいませんが、孫、ひ孫と世代を経ていくごとに相続人が増えていきます。各世代の相続人を合わせると、当初4人だった相続人が死亡者を含め1人にも増えてしまいます。ひ孫の代の相続人から見ると、死亡した人を除いても10人の相続人と共有状態になります。

     

    血縁が遠くなると会ったこともない親戚が相続人として協議しなければ売ることなどができなくなり、遺産分割協議も困難になります。相続人の中に外国在住者がいたりすると連絡や書類をそろえるのも難しくなります。

     

    このように、放置しておくと実家(不動産)は負の遺産になってしまい後世にトラブルを残してしまうことになります。現在、全国で空き家問題が社会問題化していますが、空き家を取得するきっかけは相続が半数以上を占めており、共有名義で代を重ねていくと収拾不能になるおそれがあります。

     

    相続時はそれでよいと思っていても、時間がたっていくと各相続人の事情や気持ちが変わっていきます。

     

    実家が遺産の多くを占めていても、「兄貴が住んでいるなら」「親の面倒も見てくれたし」「空き家だしいずれ売るなら」などといった理由でとりあえず共有になりがちです。重要なのは、そのとき遺産がどうしても必要な相続人がいないので、煩わしさを先送りしているだけであって、権利を保留しているだけだということです。

     

    親の面倒を見てくれた長男に対する感謝も数年もすると薄れてきます。相続人それぞれの事情も時を経ると変化します。売るつもりだった空き家海外留学から帰った子に住まわせたいと思うようになったりします。順調だった事業が不振になり、まとまったお金が必要になるかもしれません。

     

    こうして「いずれ持分を買ってくれると思ったのに」「そろそろ住んでいる自分に安く売ってくれてもいいのに」といった不満がたまります。相続時に取り決めがなかったり口約束だったりすると確実にトラブルに発展していきます。

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