【終活】親の介護は可能な限り親のお金で賄うのが原則②

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相続・終活マガジン

【終活】親の介護は可能な限り親のお金で賄うのが原則②

2023/08/17

目次

    【介護離職は絶対にNG】

    高齢社会白書(令和4年版)によると、15歳以上になると要介護認定割合が約32%と大きくなります。誰が介護をしているかは配偶者約24%、同居の子・子の配偶者約28%です。

     

    厚生労働省の雇用動向調査によると2020年に介護離職をした人は約71万人でした。男性は約1.8万人、女性は約5.3万人と女性のほうが多くなっています。性別・年代別に「介護・看護離職」の割合をみると、男性は「65歳以上」、女性は「55~59歳」で最も高くなっています。

     

    50代にさしかかると、会社内での「着地点」も見えてきます。これ以上、出世する見込みがないのであれば、「60歳の定年退職時まで会社に居続けなくてもいい」と、離職に踏み切ってしまうケースもあるのですが、退職後も働き続ける場所、つまり再就職先が見つかっていないと、子ども自身が老後破綻に陥る可能性が高くなってしまいます。親を看取ってから4年、人によっては50年ぐらい自分の長い老後が待っています。

     

    中高年の再就職は困難で、コロナ禍の今、サービス業などでは急に人手が足りなくなったと思ったら、感染者の急増とともにお客さんが激減して、人手が余るというように、不安定な状況もありました。業種によっては労働力の需給バランスが安定せず、思うように仕事が見つからないこともあります。

     

    60歳で定年退職を迎えてから再雇用で65歳まで働き続けたほうが、子どもの老後破綻のリスクは回避できます。

    【「要介護状態」の誤解】

    介護休業、介護休業給付金などの「家族介護者のための支援制度」がありますが、大和総研が2019年1月9日に発表した「介護離職の現状と「課題」では、介護休業制度やそれ以外の時短勤務などの利用含めても8.6%しかありません。

     

    原則として「要介護状態」の家族を介護する会社員などは、育児・介護休業法に基づき、「介護休業」を取得することができます。よく勘違いされる点はこの「要介護状態」のことです。

     

    急に親が倒れたときなど、介護休業を申請して会社を休みたいと思う人も多いでしょう。そのとき「要介護認定」を受けていない、あるいは判定の結果、要支援だったので申請をあきらめてしまった、という人は少なくありません。

     

    ここでの「要介護状態」は介護保険制度の要介護状態と連動していないのです。「要支援」または「自立」の状態でも、「負傷、疾病などにより2週間以上常時介護を必要とする場合」であれば、申請できる対象となっています。

     

    また、主治医の診断書も不要ですので、もし上司から「取得するためには主治医の診断書が必要」「要介護状態でなければ取得できない」と言われたら、「それは違います」と言う勇気が必要です。以下、介護休業とその条件などについて説明します。

    【介護休業とはどんな制度か】

    「要介護状態」とは負傷、疾病などにより2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態です。

     

    取得できるのは対象家族を介護する労働者で、日々雇用はのぞかれています(入社1年以上であることの要件は、2022年4月以降はなくなりました)。対象になる家族の範囲は、配偶者(内縁を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。

     

    休業できる期間は、対象家族1人につき、3回を上限として、通算9日までとなっています。必要に応じて3回に分けて、休業ができるということです。

     

    休業開始予定日と休業終了予定日を決め、原則として開始日の2週間前までに、書面等により会社側に申し出て、手続きを行います。

    【介護休業給付金とは】

    介護休業を取得した雇用保険の被保険者(65歳未満の一般被保険者、15歳以上の高齢被保険者)は原則、「介護休業給付金」を受給できます。給付額は原則として、休業開始前の給与水準の60%です。

     

    ただし、会社によっては休業中に給与(介護休業の期間を対象とする分)が支払われたケースもあります。その場合、給付金は減額または不支給となる場合もあります。

     

    休業中に給与が支払われた場合は、その給与の賃金月額に対する割合に応じて、以下の支給となります。

     

    13%以下休業開始前の給与水準の67%相当額を支給

    15%超80%未満休業開始前の給与水準の60%相当額までの差額を支給

    80%以上支給されません。

     

    介護休業給付金には、上限額および下限額が決められています。また同一対象の家族について介護休業給付金を受けたことがある場合でも、異なる要介護状態で再び介護休業を取得したときには介護休業給付金を受け取ることができます。ただし、同一の対象家族について受給できる日数は通算93日までです。

     

    その他の制度として、以下のしくみがあります。

    【介護休暇】

    要介護状態にある対象家族が1人の場合は年5日、2人以上の場合は10日を限度として、時間単位から取得できます(通院等の付添介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行等にも利用できます)。誤解されている方が多いですが、介護休業と介護休暇は別の制度です。申請方法や対象者も異なっています。

    【勤務時間の短縮等の措置】

    要介護状態にある対象家族1人につき介護休業とは別に、利用開始から3年以上の間で勤務時間の短縮の措置を2回以上利用可能とするなど、会社側は以下のうち少なくとも1つの措置を講じなければなりません(短時間勤務のほか、フレックスタイム制始業・終業時刻の上げ下げ、介護サービスの費用の助成)。

    【法定時間外労働の制限、深夜労働の制限】

    介護者が申し出た場合には原則、会社側は所定労働時間を超えて労働させることができません。また、申し出がある場合は1カ月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせてはいけません。

     

    さらに、介護者が申し出た場合には、会社側は、深夜(午後10時~午前5時)に労働させてはいけません。

     

    介護休業は通算で9日ですが、「自分が介護を行う期間」というよりは、「今後、仕事と介護を両立するために態勢を整えるための期間」です。

     

    地域包括支援センター(高齢者の生活を支えるための総合機関として各市町村が設置)や、ケアマネジャー(介護支援専門員)などと相談し、前述の制度や介護保険のサービスを上手に利用しましょう。

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