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相続・終活マガジン

内縁と相続

2021/01/19

終活講座

目次

    【内縁とは】 

    婚姻届の提出という法律が定めた手続きを経ている男女の関係のことを【法律婚】と言います。これに対し夫婦として生活しているという実態はあるものの、婚姻届を提出していない男女の関係のことを【内縁】と言います。内縁は事実婚と呼ばれることもあります。


    男女の関係が内縁であると認められるには、夫婦として共同して生活している実体があることと、夫婦として共同生活をする合意が成立していることが必要であると考えられています。

    【内縁の夫婦間の子の相続分はどうなるか】

    現在は、内縁の夫婦についても、法律婚の夫婦と大きく変わらない扱いがなされつつあります。たとえば、内縁の配偶者を健康保険の被扶養者にすることができますし、一方が死亡した場合に配偶者として遺族年金を受給することができる場合もあります。


    しかし、内縁の夫婦の一方が死亡しても、生存配偶者が相続人になることはできないのです。2018年の相続法改正で新設された特別寄与料の請求も、内縁の配偶者は対象外です。相続の場面では、内縁の配偶者の地位は非常に弱いと言わざるを得ないのが現状です。


    したがって、内縁の夫婦の一方が死亡した場合に、財産を配偶者に遺すためには、死因贈与の契約を結んでおくか、配偶者に遺贈するとの遺言書を作成しておくことが必要です。その他、生存中から非課税枠の範囲で少しずつ財産を贈与しておく方法もあります。


    内縁の夫婦の一方が死亡した場合、内縁の配偶者が故人と同居し、生活に必要な費用を共有するとともに、故人の療養看護をするなど、故人と密接な関係があったと認められる場合は、【特別縁故者】として財産が分け与えられる可能性があります。


    しかし、特別縁故者の制度は、相続人が1人もいない場合に、初めて認められる制度です。したがって、死亡した内縁の配偶者に相続人がいるときは、前述した死因贈与や遺贈がない限り、その相続人が相続財産の配分を受けるのであって、内縁の配偶者は相続財産の配分を受けることができなくなります。

    【死因贈与と遺贈】

    死因贈与とは、自分の死後に財産を譲ることを、財産を譲り受ける者との間で生前に約束しておくことを言います。


    「自分が死亡したら、〇〇に自宅の土地と建物を譲ります」というように、自分の死亡を条件とした贈与契約が死因贈与です。


    死因贈与の契約を交わす相手に制限はなく、相続人や家族に限られません。遺言等で特段の指定等がない限り、死後に財産を譲り受けるのは法定相続人に限られますが、死因贈与の場合は、財産を譲り受ける者に制限はありません。


    遺贈とは、遺言によって、自己の財産(相続財産)を、自分の死後、誰かに譲ることを言います。死因贈与と同様、財産を譲る相手は、相続人や家族に限られません。


    また、人だけでなく、会社等の団体に対して遺贈することもできます。単なる相続の場合、財産を譲り受けるのは法定相続人に限られますが、遺贈の場合、財産を譲り受ける者は法定相続人に限られません。


    通常の相続の場合、遺言が無いと、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を相続するかを決めますが、遺贈は、生前に遺言を作成することによって、自分の死後に財産を譲る相手を指定できるという点に特徴があります。


    遺贈には包括遺贈と特定遺贈があります。包括遺贈とは、「全財産の半分を〇〇に遺贈する」というように、特定の財産ではなく、すべての相続財産のうちの割合を示して遺贈することを言います。


    これに対し、特定遺贈とは、特定の不動産や株式等、譲る財産を指定して遺贈する方法です。特定遺贈は、自宅は〇〇に、A社の株式は△△にというように、譲り渡す財産とその相手を遺言の中で指定する方法で行われます。


    死因贈与も遺贈も、自分の死後、財産を譲る相手を、生前のうちに決めておく、という点は同じです。また、財産を譲る相手が、相続人に限られないという点も共通しています。


    死因贈与と遺贈の違いを見てみます。遺贈は、必ず遺言書を作成して行う必要があります。また、遺言者が単独でこれを行うことができます。


    これに対し、死因贈与は遺言でこれを行うことができません。死因贈与は、その名称の通り贈与の一種なので、財産を譲る人ともらう人の間で贈与契約を交わす必要があります。


    一般的には贈与契約書を作成して行いますが、贈与契約書の作成は必須ではなく、口頭で約束することでも死因贈与は成立します。(尚、遺贈は口頭ではできません)

     

    内縁の夫婦間から生まれた子について、母と親子関係は分娩の事実によって当然に母子関係が認められます。一方、父との親子関係は当然には認められず、認知があった後に父子関係を認めることが可能になります。そのため、内縁の夫婦間の子は、当然に母の相続人としての地位を取得します。


    しかし、父の相続人としての地位を取得するのは、認知があった後になります。尚、内縁の夫婦間の子は、婚外子(非嫡出子)として扱われますが、法律婚における子(嫡出子)と同等の法定相続分が認められます。


    今回はここまで。ありがとうございました。

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