路線価、初の減額補正へ 大阪市内の一部で国税庁
国税庁が相続税などの算定に使う路線価について、大阪市内の一部地域を対象に減額補正(下方修正)する方針を固めたことが関係者への取材で分かりました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響などで2020年9月までに地価(時価)が大幅に下落して路線価を下回る状況になり、補正が必要だと判断しました。
路線価の減額補正は初めてとみられています。大阪市中央区の宗右衛門町などが対象になる見通しです。国税庁が同地域の地価動向を調べたところ、20年9月までに地価が大幅に下落して路線価を下回る状況になっていたため補正します。20年7月以降に相続が発生した人が対象になります。
既に公表されている20年1月1日時点の同地域の路線価に1未満の補正率を乗じ、減額できるようにします。具体的な地域や補正率は1月末にも公表する見通しとなっています。
路線価は主要道路に面する土地の1月1日時点の1平方メートル当たりの価格で国税庁が毎年7月に公表しています。上場株などと違い、相続人が時価を把握するのは難しいケースもあり、国税庁が路線価を公表し、路線価に基づいて算定した価格を原則、認めています。
現行制度でも、地価が路線価を下回った場合は、納税者が個別に不動産鑑定士に頼んで評価額を出し、それをもとに相続税などを申告しても有効です。ただし、鑑定には数十万円の費用がかかることもあります。国税庁が補正率を公表することで、実態と乖離した課税となることを防ぐことになります。
国税庁によると、20年1月からの半年間で地価が15%以上下落したのは、東京都台東区浅草など6か所でした。地価が最も下落したのは名古屋市中区の錦3丁目と大阪市中央区の宗右衛門町の19%。訪日観光客の増加などを背景に上昇してきましたが、コロナ禍で大きな影響を受けています。
昨年10月時点では、1~6月分について路線価を下回る状況までにはなっておらず、減額補正は不要と判断していました。
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