【相続】法定相続分を超える権利の承継と第三者

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相続・終活マガジン

【相続】法定相続分を超える権利の承継と第三者

2021/06/28

目次

    【法定相続分を超える権利の承継の問題点とは】

    たとえば、夫AがX土地とY土地を遺して死亡し、相続人として妻Bと子Cのみがいるとします。この場合、BとCの法定相続分はそれぞれ2分の1であるため、BとCは、X土地を2分の1の持分で共有するとともに、Y土地も2分の1持分で共有するのが原則です。共有とは、1つの物を共同して所有している状態を指します。

     

    しかし、夫Aが「子CにX土地の全部を相続させる」という遺言書を遺していた場合、これは相続させる旨の遺言にあたります。夫Aの遺言は、X土地について法定相続分(2分の1)を超える遺産分割方法の指定をしていますが、これによってX土地の帰属先が子Cに確定しますので、夫Aの遺言に従って子CがX土地を承継します。

     

    そして、残ったY土地については、夫Aが遺言書を遺していなければ、BC間の遺産分割協議によって、どちらが遺産を取得するのかを決定します。本ケースのような場合は、子CがX土地を取得していることから、通常は妻Bに残りのY土地を取得させるでしょう。しかし、BC間の合意があれば、子CにY土地も取得させるとの遺産分割協議書を成立させることも可能です。

    【相続人以外の第三者との関係】

    上記の事例で、夫A(被相続人)の遺産について、相続させる旨の遺言によって、子CがX土地の全部を相続した後、妻BがX土地について法定相続分に従った相続登記(BとCがそれぞれ2分の1の持分を持っているとの登記)を経た上で、第三者Dに自らの2分の1の持分を売却したとします。法定相続分に従った相続登記の申請は、相続人が単独で行うことができるため、このような問題が生じます。

     

    2018年の相続法改正(2019年7月1日施行)では、法定相続分を超える権利(おもに不動産や動産の所有権)を取得した相続人は、対抗要件を備えなければ、第三者に法定相続分を超えた部分の権利の取得を主張できないことを明確にしました。とくに「相続させる旨の遺言」による場合、以前は対抗要件が不要でしたが、2018年の相続法改正によって運用が変わった点に注意が必要です。なお、対応要件とは、第三者に自分の権利を主張するために必要なもので、不動産の場合は登記、動産の場合は引き渡しが対抗要件になります。

     

    したがって、子Cは、第三者Dが2分の1の持分の取得を登記するよりも前に、X土地の全部を相続したとの登記をしなければ、第三者Dに対して、X土地について2分の1の持分を超える部分の取得を主張できなくなります。もし主張できないときは、X土地をCとDがそれぞれ2分の1の持分で共有することになります。


    この記事は相続を考えている人、又は相続の対策を考えている人のために、参考になればと書かれています。相続について、ご質問、ご相談があれば、お気軽に「相続について教えて欲しい」とご連絡ください。「相続」のアドバイザーがお答えします。あなたの大切な「相続」をより良き「相続」にしていただくために、相続のアドバイスさせていただきます!

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