【相続】遺留分

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相続・終活マガジン

【相続】遺留分

2021/07/20

目次

    【遺留分は相続人の生活を保護する制度である】

    私たちは、生きている間はもちろん、死亡した後も、自分の財産の行方について自由に決定することができます(財産処分の自由)。民法が定める相続のルールは、遺言の制度を中心として、故人(被相続人)の意向を尊重することを重視しています。

     

    しかし、相続が発生すると、とくに被相続人と生計を同一にしていた配偶者や子などは、相続により承継される財産が、被相続人の死亡後の重要な生活の拠り所になることがあります。したがって、被相続人の自由な財産処分によって、被相続人の死亡後に、相続人の生活が脅かされることがあってはなりません。この点から、被相続人の財産処分の自由に対して、一定の制限を加える必要が生じます。

     

    そこで、最低限の相続財産の取得を相続人に保障して、その生活を保護しようとするのが遺留分の制度です。遺留分とは、相続人に最低限保障される相続財産の取得割合のことをいいます。

    【遺留分権利者と総体的遺留分・個別的遺留分】

    遺留分が保障される相続人のことを遺留分権利者といい、遺留分権利者として認められるのは「兄弟姉妹以外の相続人」です。遺留分が認められない兄弟姉妹は、遺留分侵害請求権を行使することによって、相続財産を確保することができません。

     

    そして、遺留分権利者全体に保障される遺留分は、直系尊属のみが相続人である場合は、遺留分算定の基礎財産の3分の1、配偶者や子が相続人に含まれる場合は、遺留分算定の基礎財産の2分の1です。これを総体的遺留分といいます。

     

    遺留分権利者が1人のときは「総体的遺留分=遺留分権利者の遺留分」になります。しかし、遺留分権利者が複数人いるときは、「総体的遺留分×遺留分権利者の法定相続分」によって求めたものが、それぞれの遺留分権利者の遺留分になります。これを個別的遺留分といいます。なお、代襲相続が発生する場合は、代襲相続人(被相続人の直系卑属)にも遺留分が保障されます。代襲相続人の遺留分の割合は、被代襲者が本来取得するはずであった個別的遺留分です。

    【遺留分算定の基礎財産とは】

    上記の総体的遺留分や個別的遺留分を算定するときは、「遺留分算定の基礎財産」を求めることが必要とされています。遺留分算定の基礎財産は、簡単に言うと「相続開始時点で存在する財産(遺贈の対象になる財産を含む)

    +生前に贈与した財産-借金などの債務」という計算式によって算出します。

     

    遺留分権利者に保障される遺留分の侵害は、被相続人が自分の財産の遺贈や贈与をすることで行われます。このうち、遺贈の対象になる財産については、相続が開始する時まで被相続人に帰属していたものですから、「相続開始時点で存在する財産」に含まれると考えます。

     

    これに対し、「生前に贈与した財産」は、被相続人による贈与のすべてが遺留分の算定の基礎財産に含まれるわけではありません。以下のように、贈与の相手方に応じた期間制限が設けられています。

     

    相続人以外の人に対する贈与は、過去1年間の贈与が「生前に贈与した財産」に含まれます。贈与の目的は問いません。ただし、当事者が遺留分の侵害を知って贈与をした場合は、過去1年間より前の贈与も「生前に贈与した財産」に含めます。

     

    一方、相続人に対する贈与は、過去10年間の特別受益(婚姻・養子縁組・生計資本)にあたる贈与が「生前に贈与した財産」に含まれます。かつては特別受益にあたる贈与であれば、時期を問わず「生前に贈与した財産」に含めていましたが、2018年の相続法改正により期間制限が設けられました。ただし、当事者が遺留分の侵害を知った特別受益にあたる贈与をした場合は、過去10年間より前の贈与も「生前に贈与した財産」に含めます。

    【遺贈による遺留分の侵害のケース】

    たとえば、夫が2000万円分の財産を遺して死亡した場合、相続人として妻と子1人がいたとします。法定相続分に従うならば、妻は2分の1にあたる1000万円を相続します。

     

    しかし、夫が「愛人Xに私の全財産を遺贈する」という内容の方式に従った遺言書を遺していた場合、遺言書に従うべきとなれば、妻や子が夫の財産を一切取得することができず、夫の死後の生活に影響が出ることがあるかもしれません。

     

    そこで、妻や子には遺留分が保障されています。それぞれの個別的遺留分は、「2000万円(遺留分算定の基礎財産)×2分の1(相対的遺留分)×2分の1(法定相続分)=500万円」です。妻や子は、夫からなにも相続されていない状態ですから、500万円分の遺留分の侵害が認められます。

    【贈与による遺留分の侵害のケース】

    たとえば、夫が一切の財産も債務も遺さずに死亡し、相続人として妻と子1人がいたとします。そして、夫が死亡する半年前に、自分の財産2000万円分のすべてを第三者に贈与していたとします。

     

    この場合、妻と子は相続によっては夫の財産を取得できませんが、相続開始から近い時期に行われた贈与について何らかの規制をしなければ、相続人が被相続人の死後に取得できるはずであった財産に影響を与えることになります。

     

    もっとも、半年前の第三者に対する2000万円分の贈与は、「生前に贈与した財産」に含めます。そのため、遺贈のケースと同様、妻と子の個別的遺留分は各500万円であって、妻や子は夫から何も相続されていませんから、500万円分の遺留分の侵害が認められます。


    この記事は相続を考えている人、又は相続の対策を考えている人のために、参考になればと書かれています。相続について、ご質問、ご相談があれば、お気軽に「相続について教えて欲しい」とご連絡ください。「相続」のアドバイザーがお答えします。あなたの大切な「相続」をより良き「相続」にしていただくために、相続のアドバイスさせていただきます!

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