【相続】空き家の処分と活用

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相続・終活マガジン

【相続】空き家の処分と活用

2023/09/14

目次

    【空き家の実態】

    空き家は所有するだけで多額のコストやさまざまなリスクを抱えることになります。そればかりでなく、地域に空き家が増えると、その地域の治安の悪化などを招き、ひいては地域全体の資産価値を下げたり、地方自治体の財政も圧迫したりします。幼いころに住んだ経験など、愛着のある家を処分するのは簡単ではありませんが、負の遺産を引き継いだり残したりしないように早めの対応を考える必要があります。

     

    まず、空き家にはどのようなコストがかかるのかを把握しましょう。代表的なコストに市町村税(東京 23区は東京都税)があります。市町村によって異なりますが、大半の自治体では土地・家屋の固定資産税評価額に対し、固定資産税は 1.4%、都市計画税は 0.3%かかります。ただし、住宅用宅地なら固定資産税が 6分の 1、都市計画税が 3 分の 1 に軽減される特例(200 平方メートル以下の場合)があります。

     

    また、水道や電気は日々使わなくとも、契約しているだけで毎月、基本料金がかかります。失火などに備えるため、火災保険の保険料が必要になります。庭があるなら手入れも必要で、シルバー人材センターに草刈を依頼する場合、地域によって料金は異なりますが、2 時間なら 3,500 円程度かかります。

     

    国土交通省の令和元年の空き家所有者実態調査によれば、年間の維持費用は 5 万円以上~10 万円未満が 18.0%と最も多くなっています。

    【不法投棄、賠償責任も】

    加えて、人が住まなくなった空き家は建物の傷みが早くなります。定期的に換気をしたりしないと、湿気や窓の結露、カビ・ダニなどが発生し、異臭の原因にもなります。ひどい場合にはシロアリの被害に遭って建物の構造にも影響を及ぼしたり、雨漏りによって屋根や柱が腐ってしまったりすることもあります。空き家管理のサービスもありますが、月 1 回の巡回で 1 万円程度の費用がかかるサービスが多いようです。

     

    建物が劣化すると、その分、資産価値も下がるため、修繕の費用も必要になります。人が住めない状態となった空き家は、なかなか買い手も見つかりません。また、空き家の状態が長く続くと、ゴミの不法投棄の対象となったり、第三者が不法に占拠したりする可能性が高まります。建物の倒壊などで隣地の所有者や通行人に危害を与えれば、損害賠償の責任を負います。近隣住民との関係も悪化します。

     

    地域の空き家率が 30%を超えると急速にスラム化などが進行し、自治体の財政も破綻するといわれています。空き家の課題解決に向け、今年 6 月成立の改正空き家対策措置法では、倒壊の危険性などが高い「特定空き家」に加え、放置すれば特定空き家となる恐れのある「管理不全空き家」も住宅用地の特例が解除さ  れ、固定資産税なら 6 倍になることになりました。空き家の所有に伴うコストは、今後、さらに膨らむことになります。

    相続などで空き家を所有することになった場合、できるだけ早く今後の方針を決める必要があります。その時、選択肢となるのは、「持ち続ける」か「手放す」の二つです。ここで、判断基準となるのは、「将来使う予定があるかどうか」になります。将来使う予定がなければ、たとえ安くしか売れなかったとしても、空き家所有コストを考えれば手放した方が良いということです。

     

    「持ち続ける」にしても「手放す」にしても、空き家の状態はその後の処分に大きく影響します。重要なのは「人が住めるかどうか」であり、しっかり手入れされていて、すぐにでも人が住める状態であれば、賃貸でも売却でもメドをつけやすくなります。木造住宅であれば流通可能かどうかを判断する際、シルバー人材センター会員専用の資格に「木造住宅簡易鑑定士」があり、依頼すれば現地調査の上、簡易鑑定書を発行してもらえます。

     

    空き家を持ち続けることにした場合、①自分・身内が住む、②管理する、③賃貸する、④活用する、の大きく 4 つの方法があります。

     

    の自分や身内の誰かが住むことになるなら問題は生じません。②の管理では、管理のコストはかかるものの、「二地域居住」という方法があります。普段は大都市に住みながら、週末など一定期間は地方で過ごすライフスタイルで、近年は二地域居住をしたいと考える人も増えています。

    【増える贈与型賃貸借】

    の賃貸では、今すぐに人が住める状態であれば問題ないですが、そうでない場合は住める状態にするまでリフォーム費用がいくらかかるかがポイントになります。自分が住んだり活用したりする場合は民間金融機関の住宅ローンも利用できますが、賃貸の場合は金利が若干高くなる傾向があるため、金利水準は確かめたいところです。また、リフォーム費用も人件費や物価高騰によりここ数年で大きく上昇しています。

     

    最低限、人が住める状態の家であれば「DIY 型賃貸借」という手法もあります。自分好みに家を改修したいというニーズに応え、借主が自分の費用で家を改修できる賃貸の形式で、国土交通省も賃貸住宅の流通促進策の一環として普及に取り組んでいます。貸主にとってもリフォーム費用を抑制できるというメリットがあります。国交省はDIY 型賃貸借の契約書の書式例も公開しているので、参考にすると良いでしょう。

     

    最近では「贈与型賃貸借」という形態も増えてきました。典型的には当初 10 年間は賃貸住宅として借主に住んでもらい、10 年後に借主がそのまま賃貸として住み続けるか、土地・建物を無償で譲り受けるかを選択してもらう契約です。

     

    借り主が子育て世帯の場合、教育資金の負担が大きくなる 10 年後に家賃が無くなるメリットは大きいでしょう。貸主にとっても、空き家となるリスクを抱えず、住み続けてもらえる人に譲渡することができます。

    【セーフティネット住宅も】

    空き家を地域のために④活用する、という選択肢もあります。低所得者や被災者、高齢者、障害者など「要配慮者」の入居を拒まない「セーフティネット住宅」として都道府県や政令指定都市などに登録すれば、耐

     

    震化やバリアフリー化などの改修費用の補助や、家賃の低廉化の補助が受けられます。また、学童保育や高齢者のデイサービス、地域の交流拠点など、地域のニーズに応じた活用に対して、国や市区町村が事業費を補助する制度もあります。

     

    また、農山漁村の活性化を目的とする農林水産省の「農山漁村振興交付金」制度では、古民家などを活用した滞在施設(農泊)の整備支援も盛り込まれており、農泊として活用する場合は改修費などの補助が受けられます。このほか、空き家のリフォーム費用については市区町村が独自の補助制度などを設けているところも少なくなく、利用できる制度があるのであれば使わない手はありません。

     

    一方、空き家を将来使う予定がなく、「手放す」ことを選択した場合は、建物がある状態で売却するか、更地にして売却するかが次の選択肢となります。建物の状態が良く、かつ立地も良ければ、不動産業者に仲介を依頼して売却することは可能です。建物の状態が悪くても改修して売る道もあります。

     

    ただ、不動産業者は物件の取引価格に応じた仲介手数料の法定上限が定められており、取引価格が低ければ積極的な仲介には乗り出しにくいのも現実です。

     

    そこで、所有者が売却したい空き家の情報を登録し、購入希望者に提供する仕組みとして、多くの市区町村が「空き家バンク」を設けており、国交省も全国の空き家バンクの情報を横断的に検索できる「全国版空き家・空き地バンク」のサービスを 2018 年から始めました。着実に成約件数も伸びていますが、気を付けたいのが空き家バンクに登録したからといって買い手がすぐに見つかるわけではない点です。

    【「国庫帰属制度」活用を】

    売れない状態が長く続くと、空き家の状態も劣化してますます売れなくなります。空き家が処分できなくなったり、そうなる前の予防策として解体して更地にすることも選択肢となります。空き家の解体費用も年々上昇していますが、市区町村では解体費用の補助制度を設けているも少なくないので、調べたうえで利用を検討すると良いでしょう。ただ、解体する場合にはいくつか注意したいポイントがあります。

     

    空き家を解体した後の更地を売却したり活用したりするメドが立っていなければ、定期的な除草などの管理は必要になります。また、固定資産税・都市計画税も住宅用地の特例が外れて 6 倍になります。加えて、市

    街化調整区域に指定されていたり、建築基準法で定められた道路に 2 メートル以上接道している土地でなかったりすれば、再建築ができなくなります。処分もできない土地を抱えて悩む人は少なくありません。

     

    しかし、2023 年 4 月から「相続土地国庫帰属制度」が創設され、行き場がなくなった土地を国に引き取ってもらえる道が開けました。相続や遺言で土地を取得した相続人なら、①建物がない、②担保権や賃借権が設定されていない、③通路、墓地など他人の使用が予定されていない、④土壌が汚染されていない、⑤境界が確定している、という条件を満たせば、所定の負担金などを納めることで原則として引き取ってもらえます。

     

    ただし、売買によって土地を取得した人や、生前贈与によって土地を取得した人は対象外となることに気を付けてください。また、境界を確定するには隣地の所有者との調整も必要で、専門家に依頼するコストもかかります。それでも、2024 4 月からは相続した土地は 3 年以内に登記することが義務化され、未登記によって責任をあいまいにすることは難しくなります。負の遺産を次の世代に引き継がないよう、国庫帰属制度の活用も検討しましょう。」

     

     

    宅地

    面積に関係なく20万円

    ただし、市街化区域や用途地域指定の宅地は面積に応じて算定

    (例:100平方㍍で約55万円、200平方㍍で約80万円など

     

    田畑

    面積に関係なく20万円

    ただし、市街化区域や用途指定の地域や農用地区などの田畑は面積に応じて算定(例:500平方㍍で約72万円、1000平方㍍で

    約110万円など

    森林

    面積に応じて算定(例:1500平方㍍で約27万円、3000平方㍍

    で約30万円など

    その他

    (雑種地など

    面積に関係なく20万円関係なく20万円

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