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相続・終活マガジン

遺言について

2020/12/18

目次

    【法定相続分よりも遺言の内容が優先する】

    法定相続よりも優先されるのが、【遺言】による相続です。遺言は、一般的には「ゆいごん」と読まれますが、正式に言うと、法律上は「いごん」と読まれます。法的に言うと、遺言とは被相続人の最終の意思表示のことを指します。

    被相続人の最終の意思表示とは、要するに、自分の死後に生じることになる財産の処分等の法律行為に対しても、自分の意思表示の効力を及ぼすことができるということです。

    その最終の意思表示である遺言を、書面にしたものが、「遺言書」です。

    遺言書に何を書くかは、その人の自由ですが、一定の内容については、法的効力を持ちます。これを【遺言事項】と言います。

    遺言事項には、大きく分けると、1)相続に関すること、2)相続以外の財産処分に関すること、3)身分に関することがあります。

    以下にまとめてみます。

    【1)相続に関すること】

    ●法定相続分と異なる相続分の指定

    ●誰に何を上げるか等、遺産分割方法の指定

    ●相続人の排除とその取り消し

    ●特別受益の持ち戻しの免除

    ●遺留分減殺方法の指定

    【2)財産の処分に関すること】

    ●相続人以外の人へ財産を譲る指示(遺贈)

    ●特定団体などへの寄付の意思表示

    【3)身分に関すること】

    ●婚姻関係のない相手との子どもの認知

    ●未成年者の後見人や後見監督人の指定

    【4)その他】

    ●祭祀承継者の指定

    ●遺言執行者の指定

    【遺言でどのように指定するのか】

    遺言で相続分を指定する場合は、1)相続人全員の分を指定する方法と、2)一部の相続人の分だけを指定する方法があります。

    2)の場合、指定されなかった相続人については、残りの財産を、法定相続分を目安にして分けるのが基本です。

    たとえば、1)の相続に関することとしては、法定相続分とは違う相続分を指定できます。妻と子ども1人が相続人の場合、法定相続分通りだと相続分は2分の1ずつですが、「妻には3分の1、子どもには3分の1」という遺言を残せば、その割合になります。

    また、「自宅は妻に、株など有価証券は長男に、現預金は次男に」のように、誰に、どんな財産を分けるかを具体的に指定することもできます。

    2)の内容としては、例えば、お世話になった知人など、法定相続人以外に財産を分けることができます。遺言によって、法定相続人以外の人に、財産を渡す場合は、相続とは言わず【遺贈】と言います。

    3)の内容としては、子どもの認知や未成年後見人の指定などができます。

    本来、自分の財産の処分方法は、本人の自由であるはずです。遺産についても、それは同じと考えられます。そこで、遺言によって故人の意思が表明されれば、その内容を尊重するのが、原則となります。

    法定相続分よりも遺言が優先されるのは上記の理由によります。

    しかし、遺言に納得できない時には、相続人全員の合意があれば、遺言の分け方を変えることも可能です。

    ただし、1人でも合意しない者があれば、遺言が優先されることになります。

    また、遺贈がある場合も、遺言は優先されます。相続は多数決では決まらないということです。

    【遺言による指定があるときの相続分の計算例】

    いずれも相続人は妻と子ども3人。財産評価額は1億円の場合

    ★ケース1 法定相続分通りに分けた場合★

    ●妻  1/2  5,000万円

    ●長男 1/6  1,666万円

    ●次男 1/6  1,666万円

    ●三男 1/6  1,666万円

    ★ケース2 事業を引き継ぐ長男に全財産の半分を上げたい

    ●長男 1/2  5,000万円

    ●妻  1/4  2,500万円

    ●次男 1/8  1,250万円

    ●三男 1/8  1,250万円

    ★ケース3 

    昔お世話になった知人のAさんに1,000万円を譲りたい

    ●知人A     1,000万円

    ※残り9,000万円を法定相続人が分割

    ●妻  1/2  4,500万円

    ●長男 1/6  1,500万円

    ●次男 1/6  1,500万円

    ●三男 1/6  1,500万円

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