【相続】不動産の共有名義はトラブルになりがち

LINEで個別相談 お問い合わせはこちら

[営業時間] 9:00 〜 18:00 / [定休日] 土,日,祝

相続・終活マガジン

【相続】不動産の共有名義はトラブルになりがち

2023/03/06

目次

    【必ず発生し処理がやっかいな実家の共有名義】

    親が亡くなった時点で、実家は相続人である子供の共有名義になります。遺産分割の話し合いの中で、どう処理していくかが相談されます。しかし、不動産は簡単には分けられないので、もめる原因になります。

     

    相続人が2人以上いれば不動産相続は共有名義とセットになるのでやっかいです。実家と少々の預貯金しかないような家庭でも必ず直面する問題です。共有名義が絡むことでトラブルを生むといっても過言ではありません。例えば、次のような問題が起きます。

     

    ・相続人の誰かが住む場合、名義は共有名義のままにするのか

    ・居住者以外の共有者に対しては居住者から金銭などの支払いをするのか

    ・居住者が他の共有者から持分を買い取る場合、いくらで買い取るか

    ・相続人が誰も住まずに売却する場合、いつ、いくらで売却するのか

    ・相続人全員の意見がまとまらない場合どうするのか

     

    具体的な内容は第2章で紹介しますが、共有名義が絡むことで実家の不動産相続は思った以上に複雑になります。

    【借地権なら地主との関係も生じる】

    実家が借地権付き建物の場合、相続人同士のトラブルに加えて地主とのトラブルのリスクも生じます。地主に土地の返還を要求された場合に、どのように対応するかで相続人同士がもめてしまうということもあるでしょう。

     

    借地権を巡る地主が絡む相続トラブルに多くみられるのは、次のようなことです。

    ・土地の返還を要求される

    ・借地権の売却を地主が承諾してくれない

    ・建物の建て替えを地主が承諾してくれない

    ・借地権の名義変更料を要求される

    ・借地権の買い取りに応じてくれない

    【共有名義になるきっかけの9割は相続】

    不動産で共有状態が発生する、つまり共有名義になるきっかけにはどのようなものがあるでしょうか。ひとつには共同購入です。典型的なケースはマイホームを夫婦で共同購入する場合です。また、別荘などを知人と共同購入する場合もあります。

    しかし、共有名義のきっかけで圧倒的に多いのは相続によるものです。データによれば、共有名義が生じるきっかけの99%は相続で、夫婦共同購入は10%、その他は1%にすぎません。

    【親が亡くなった瞬間、遺産は子の共有財産になる】

    このように、不動産が共有名義になるきっかけのほとんどは相続によります。しかし、相続のときに共有名義になるのは不動産に限りません。相続人が複数いる場合、親など被相続人の死亡(相続の発生)時点ですべての遺産が共有財産になります。つまり、親が亡くなった瞬間、不動産・預金・有価証券など親の全財産が、子(相続人)の共有状態になるのです。

     

    共有名義とは共有状態のことですから、共有状態を解消するためには相続人全員で遺産分割協議を行って配分を決め、必要な手続きを行います。現預金などは、遺産分割協議書または全員の印鑑証明があれば、銀行などは引き出しに応じてくれます。各人の名義口座に移行すれば、各相続人の個別財産になります。

    【不動産の共有名義はわかりにくい】

    現預金であれば明確に価値がわかります。例えば3000万円の預金を3人で均等に分けるなら1000万円ずつです。分けてしまえば、それで終わりです。しかし、不動産の場合は「持分として3分の1の権利を持つ」という意味になります。「土地の面積の3分の1を所有できる」という意味ではありません。評価額が3000万円だったとしても、売却後に分配して初めて1000万円という価値が確定するのです。

     

    また、権利を持っていたとしても権利に見合った利益を得ているとは限りません。例えば3人(長男・長女・次男)の相続人のうち長男が相続した実家に住んでいた場合、長女と次男は恩恵を受けていないことになります。通常は、固定資産税は住んでいる長男が負担するとしても、家賃相当分を長女と次男に払っているなどということはありません。たとえ何かしらの対価を払っていたとしても、持分に見合う利益になっているかどうかをはっきりさせることは困難です。

     

    こうしたわかりにくさが、不動産の共有名義特有のトラブルを生みやすくします。また、相続人の子の誰かが死亡していて孫が相続人となっている「代襲相続」が絡む場合はさらにもめやすくなります。例えば、前述の相続人3人のうち長男が亡くなっていて長男の子(被相続人からみれば孫)の2人が相続人となっている場合です。世代が異なる相続人がいると兄弟姉妹だけよりもコミュニケーションは希薄になりがちですし、相続人ではない孫の母(長男の妻)が強く口出ししてくるような場合も多いでしょう。

    【共有名義不動産には3つの制限ルールがある】

    共有名義の不動産に関しては、次の図のように、主に同意の必要性について段階的な3つの制限ルールがあります。

     

    共有者の1人が単独でできることは非常に限られており、共有者全員の誰にも不利益ならない保存行為が前提になります。保存行為とは、共有不動産の現状を維持するための行為です。

    つまり、他の共有者の同意を必要とせず単独でできるのは、不動産の簡単な維持行為であり、具体例でいえば草むしり程度です。雨漏りやトイレ、風呂の修繕なども現状維持の範囲であればできますが、例えば風呂の修繕と一緒に風呂場を広げたりすると保存行為ではなく共有者の過半数の同意を必要とする管理行為とみなされる可能性があります。

    【過半数の同意があれば部分的なリフォームは可能】

    過半数の同意でできるのは管理行為で、部分的なものであればリフォームは可能です。過半数とは例えば共有者が3人であれば2人、共有者が4人であれば3人ということになります。共有者が2人の場合は、過半数となるには2人の同意が必要ですので、実質的に全員同意となります。

     

    なお、親から子への相続時の相続人(共有者)の持分割合は同じになりますが、その後に持分割合が変わることがあります。例えば、相続人3人(長男・長女・次男)で実家を相続した場合、相続時の持分割合は各3分の1です。その後、遺産分割協議によって長男が6分の4、長女と次男が各6分の1の持分となった場合、長男は単独で管理行為である部分的なリフォームができます。つまり、過半数の同意とはあくまで持分割合(持分価格割合)が基準となるのであって人数が基準になるのではありません。

     

    少しややこしいのは、第三者への賃貸借契約です。他人に不動産を貸す場合に短期間であれば過半数同意の管理行為の範囲とみなされます。建物は3年以内、土地は5年以内であれば過半数同意で他人に貸すことができます。この期間を超えて貸すと変更行為となり、全員の同意が必要となります。

     

    例えば、一時的な資材置き場として敷地の一部を5年以内で貸すことは過半数同意で可能です。建物の例でいえば、単身赴任者の居住用として3年以内で部屋を貸すなどであれば過半数同意で可能になります。

    【建て替えや売却には全員の同意が必要】

    不動産の変更行為は全員の同意が必要です。そのため、建物を建て替えたり、売却したりするには全員の同意が必要です。リフォームであっても大規模なリフォームであれば変更行為になりますので、全員の同意がなければできません。

     

    変更行為とは、共有不動産の価値を変える行為ですが、物理的な変更と法律上の変更があります。物理的な変更とは、建物の取り壊しや建て替え、大規模な増改築などです。また法律上の変更とは、不動産の売却によって不動産全体が第三者の所有になってしまうことです。なお、自分の持分だけの売却はこれに含まれません。例えば、3人(長男・長女・次男)の共有不動産で共有者の1人(長女)が自分の持分(3分の1)だけを第三者(他人)に売るのは単独ででき、他の2人の共有者(長男・次男)の同意は不要です。

    相続についてより詳しく学びたい方

    この「相続読本」は相続なんでも相談センターが長年に渡って培った相続のノウハウが詰まった1冊です。何から始めていいかわからない方、何を調べて、何を勉強すればいいのかわからないでも必ずこの1冊の中に知りたいことが詰まっています。

    是非一度、手に取ってみてください。こちらのページからダウンロードできます。

    当店でご利用いただける電子決済のご案内

    下記よりお選びいただけます。